企業と社会の戦略的コミュニケーション

■登壇者2:高堰博英氏
「消費者とのコミュニケーション」を考えた際、商社はB to B事業が中心となるが、原料調達から始まるバリューチェーンは消費者に多大な影響があり、それを語らずして消費者とのコミュニケーションは成り立たないのではないか、との見解が示されました。

サステナビリティの視点から見る三井物産の事業活動について、同氏はまず創業から変わらない重要なメッセージ「社会と会社」を挙げ、社会も会社も常に変わっていくものであり、社会とは何かという問いから消費者との対話が生まれる。誰もが一人の消費者で、皆それぞれに担っていることがあり、社会と会社は双方密接に関わり合って我々の社会が構成されている、との考え方を示しました。

次に、三井物産の5つのマテリアリティである「地球環境の保全」「資源・素材の安定供給」「地域産業・生活基盤の充実」「人権の尊重」「ガバナンスと人材」を示し、海外であらゆる事業を展開するには様々な事業パートナー、地域社会、NGO/NPO等マルチステイクホルダーと対話をしていく意識を高く持つ必要性を語りました。

さらに価値創造プロセスの重要なポイントとして、社会が持続可能でなければ会社も持続可能ではなく、会社自体が持続可能でなければそもそも社会的責任を社会の一員として担うことはできないと述べ、「事業活動を通じて新しい価値を提供し、持続可能な社会を実現する」という同社の経営の根幹を成す重要なメッセージを示しました。

SDGsへの取り組みについては、まずは17のゴールを示し、同社の各事業を169のターゲットと関連付けることで、社員一人一人にマインドセットしていると説明しました。社員自らが社会との関わりを自分事とするためにサステナビリティを勉強する「サス学」等から、中長期な2030年、2050年を見据えてサステナビリティマインドを作り、「社会と会社」の対話を進め、さらには消費者との対話、事業パートナーとの対話を通して企業価値を向上させていきたい、との言葉で締めくくりました。

■登壇者3:間宮孝治氏

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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