被災企業の可能性引き出す開発支援、2019年は釜石で

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東日本大震災の被災3県で自社の強みを全面に生かした「東北応援ソーシャルビジネスプロジェクト」を継続している日本ゼトック。長年の経験で培った化粧品の開発力によって被災地の地域資源や地場産業の新しい可能性を引き出す商品を誕生させてきた。2019年のラグビーワールドカップ開催で注目を集める釜石で老舗醸造会社と連携した新商品を発表する計画だ。(釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)=手塚さや香)

商品開発会議の様子

日本ゼトックは化粧品や口腔ケア商品のOEM(他社ブランドの受託製造)と自社製品の製造販売を行い、その技術力には定評がある。長年、OEMをメインの事業としてきたが、15年ほど前からマーケティング強化のために、マーケティングやプロモーションをテーマとしたセミナーや研修への社員の参加を奨励してきた経緯がある。

震災後、縁のあった福島県の老舗酒蔵と共同で開発した日本酒由来の化粧水がヒット。その後は福島だけでなく岩手、宮城両県でも被災地の企業と共同で化粧品開発を手掛けてきた。

2016年には岩泉産業開発(岩手県岩泉町)と連携し、「龍泉洞の水」を利用した「龍泉洞の化粧水」を、2017年にはジェルを発売。台風10号で被災した同社の雇用の受け皿としても貢献し、首都圏などにも販路を広げている。また、2017年には酔仙酒造(同陸前高田市)の白にごり日本酒「雪っこ」を使用した「雪っこオールインワンジェル」を発売し、昨年は新たにフェイスマスクも誕生した。

その後、2017年から取り組んでいるのが、「富士醤油」「十割糀味噌」といった商品で地域に親しまれている藤勇醸造(岩手県釜石市)との開発。同社の小山和宏専務、小山明日奈さんと打ち合わせを重ねながら、同社の人気商品の「甘糀」を活用した化粧品の商品化という方向で調整を進めてきた。

発酵食品の効果が注目を集める中で、「飲む点滴」とも言われる糀の甘酒から抽出したエキスを使い、女性に響く商品を志向している。

藤勇醸造専務の小山和宏さんは「開発をスタートした当時は、味噌や醤油の購買層とは違う若い世代向けの商品を開発することで本業の醸造業との相乗効果を期待したが、さまざまな議論をする中で、化粧品は化粧品として独立したブランドとして展開するのもよいかもしれないと思うようになった」と期待。明日奈さんも「化粧品と食には共通する要素がたくさんあることが分かった。日本ゼトックとの開発のノウハウは今後の食品開発にも生かせると思う」と話す。

担当した日本ゼトックマーケティング企画課の上田陽香さんは「藤勇醸造さんの思いを反映させた商品を目指す中で、担当の小山明日奈さんの清楚、知的、前向きというイメージを表現したブランドコンセプトを固めてきました。被災地である釜石発の商品として地元を中心に末永く愛される商品を目指したい」、また同社マーケティング企画開発部の佐藤真奈美部長は「ワールドカップが開催される釜石で復興の象徴ともなる商品を目指して開発を進めてきた。今後も新しいことに挑戦したい企業があればいっしょに取り組んでいきたい」と活動の継続に意欲を見せた。新製品は2019年秋発売予定。

一般社団法人 RCF
2011年4月、震災復興のための調査を行う団体として発足。現在は復興事業の立案・関係者間の調整を担う「復興コーディネーター」集団として活動。代表理事は藤沢烈。活動例として、2015年度はいわて未来づくり機構を母体とする「いわて三陸 復興のかけ橋プロジェクト」を岩手県より受託し、岩手県内各地と県外企業・団体の復興支援マッチングを推進している。

2019年3月25日(月)16:14

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