■「協働」で放課後をつくっていく
西川氏は、放課後の活動をつくる際にも、前述のようにまず子どもたちを取り巻く学校教育や家庭教育の現状や課題を地域や学校で共有し、把握した上で行っていくことが大切だと言う。そのためには様々な人の協働が必要不可欠。
「放課後の活動は、近所に公園があるか、家に保護者がいない子がどれくらいいるか、塾に行く子がどれくらいいるのか、など様々なテーマとの関連の中で決まっていくもの。そういった現状を踏まえて今の子どもたちに欠けている体験や、地域でこそ補える種類の活動を検討することが重要です。そのためには学校関係者や地域コーディネーター、自治体、保護者、地域の方など様々な立場の人たちが情報を共有して同じ絵を描き、“協働”していくことが必要なのです」(西川氏)
実は、学校に地域の人が関わるという取り組みは従来から行われている。しかし、横の連携が不十分で実践者の方々がお互いの活動を把握していなかったり、熱意ある方によって継続できていた活動がその人がいなくなると活動もなくなってしまったりという属人的な問題があった。
そういった課題に対して今回の新・放課後子ども総合プランで行われたのが、横の連携をはかるためのコーディネーターの位置づけの見直しと、「協働」という言葉を盛りこんだということである。「協働」とは「同じ目的のために、異なる立場の人たちが対等な立場で共に働くこと」という意味。つまり、共通の目的を複数の立場の人で共有すること、そして対等な関係の下で協力して活動していくことの重要性が今回のプランで明記されたということになる。
「大人たち自身が課題を乗り越えるために、異文化を吸収して受け入れながら、時にはけんかもしながらこれでいこう!というように実際に協働している姿こそが、子どもたちが協働できる力を身に着けることにつながると私は強く思っています。ぜひみなさんには”放課後の協働”というキーワードを大切にしていただき、他部署の人と話をしてみていただきたいなと思います」(西川氏)
■子どもたちが自由に選べる放課後の過ごし方