持続可能なSDGs消費とは何か(笹谷 秀光)

SDGsの目標12「持続可能な生産と消費」は、英語では、「Sustainable consumption and production」である。「SDGs経営」の時代において、経営として消費者にどう対処していくべきかを考えたい。(千葉商科大学基盤教育機構・教授/CSR/SDGsコンサルタント=笹谷秀光)

■SDGsの目標12「持続可能な生産と消費」
SDGsの目標12「持続可能な生産と消費」は不思議で、原文の英語では消費が先で、「Sustainable consumption and production」である。つまり思想としては消費者に選ばれないようなものはつくらなくてよいとのメッセージが根底にある。

この目標には、次のターゲットがある。
「12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。」

SDGs経営では、消費者への商品・サービスの提供にあたっては、消費者のライフスタイル変革のけん引役になることが期待されているのである。

このターゲットに関する指標が興味深い。次のとおりである。
12.8.1 気候変動教育を含む、(i)地球市民教育、及び(ii)持続可能な開発のための教育が、(a)各国の教育政策、(b) カリキュラム、(c) 教師の教育、及び(d)児童・生徒・学生の達成度評価に関して、全ての教育段階において主流化されているレベル

つまり、指標としては、消費者「教育」の視点で作られている。
実は、この指標は、目標4「質の高い教育」のターゲット4.7と表裏一体である。

「4.7 2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。」

この中に「持続可能な開発のための教育」(ESD: Education for Sustainable Development)と併記して、「持続可能なライフスタイルへの貢献のための教育」があげられているのである。このターゲットに関する指標は次のとおりである。

4.7.1 ジェンダー平等および人権を含む、(i)地球市民教育、及び(ii)持続可能な開発のための教育が、(a)各国の教育政策、(b) カリキュラム、(c) 教師の教育、及び(d)児童・生徒・学生の達成度評価に関して、全ての教育段階において主流化されているレベル

このように、上記の目標12の指標12.8.1とほぼ同じである。

■企業としてのSDGs の目標12への対応

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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