今、ミラーワールドへのとば口で考える

原田勝広
オルタナ論説委員

デジタル革命に詳しいアメリカの「WIRED」誌の創刊編集長、ケヴィン・ケリーは著書「<インターネット>の次に来るもの」(NHK出版)の中で、未来を決める12の法則を動詞ing形で紹介している。いくつか挙げてみよう。

① COGNIFYING(認知化)―例えば、認知化した看護。患者にセンサーを付け、生体情報を24時間監視することで個人に合わせた治療ができ、日々その制度を高めて最適化してくれる。
② SCREENING(スクリーン化)-膨大な数のスクリーンに囲まれるわれわれは、本の民からスクリーンの民に変わっていく。そして両者の文化的衝突を経て、社会の法律、文化、行動、価値観が変容していく。
③ INTERACTINGーVR、ハイパーリアルな世界。例えば、劇場では単に椅子に座っているだけでなく、映画の主人公と一緒に戦ようになる。飲み会などではワインの味や匂いを感じられる時代がくるのだろうか。
④ TRACKING―動作追跡だ。今回、渋谷や銀座の人出をスマフォのGPS位置情報を解析して教えてくれたが、そんなレベルではない。どこへ行ったかだけではなく、食事、運動、睡眠パターン、血液成分、遺伝子までトラッキングされる。
⑤ QUESTIONING―問いかけーソーシャル・コミュニケーションは取られ始めたばかりだが、世界規模の制度を発明していく端緒になりうる。新たな発明によって世界規模のリアルタイム社会を編み出せば、以前には不可能だと思われたことが一気に実現していく。

―――と、まあこんな具合だ。未来社会が今までの社会とは異なるもうひとつの世界であるのは間違いない。そんな世界にふさわしい国際的な枠組み、今から、それを用意する必要があるのではないだろうか。

(完)

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門は国連、CSR, ESG・SDGs論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』など多数。

2020年6月12日(金)10:00

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