プラごみを通貨に 環境と貧困を解決

■世界のソーシャルビジネス 北米編 カナダ

カナダ人起業家が2013年に立ち上げたプラスチック・バンクは、プラごみ問題と貧困問題を同時解決する新たな仕組みを立ち上げた。プラごみを回収する貧困層に適正報酬を支払い、プラごみから再生プラ原料を製造して直接メーカーに売ることで、プラごみの循環を可能にしている。(栗田路子)

プラ循環経済を希求する デヴィッド・カッツ氏
Bank Plastic©

技術や環境などの分野で、世界に大きな影響を与える人物が出演するインターネット配信番組「TED Talks」。プラスチック・バンクのデービッド・カッツCEOも同番組で熱く語った。

「我々は皆、間違いを犯した。(中略)だが、プラごみに価値を生み出し、プラごみを集める労働に価値が付けば、プラごみは宝の山、地球の『ビットコイン』にもなる」

毎年800万トンにも上るとされる海のプラごみの8割は、途上国の貧困地域に偏っている。カッツCEOによれば、どんなに効率的にプラごみを回収しても、貧困とプラ問題を同時に解決できなければ、地球に未来はないという。

そこで、カッツCEOが考案したのはこんな仕組みだ。プラごみを回収する人たちに、スマホを提供し、指導する。集めたプラごみへの対価は、個人のオンライン口座に現地通貨と結びついたトークンで支払う。

彼らはその場で食品などの生活必需品を買ったり、ガスや電気、学費や医療費などを支払ったりすることができる。「我々は、世界で最も貧しい人々のための、世界最大の生活必需品ショップを経営しているようなもの。店は、スマホの充電ポイントであり、村の寄り合い所としても機能している」(カッツCEO)

途上国を中心に拡大

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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