「サーマルリサイクル」(熱回収)という和製英語を最近あまり聞かなくなった。「熱回収は本当にリサイクルなのか」という人々の疑問と反発が浸透した結果だろう。環境省が提唱する循環型社会のイメージ図からもサーマルリサイクルの文字が消えた。しかし、プラスチックごみのサーマルリサイクルは、相変わらず続いている。(編集委員・栗岡理子)

サーマルリサイクルはリサイクル?

回収されたプラスチックのベール(かたまり)

サーマルリサイクルとは、廃棄物を焼却する際に出る熱エネルギーを回収・利用することだ。効率はそれほど良くないものの、単に燃やすよりは良いということで、日本ではごみの処理方法の1つとして奨励されている。

欧米では「エナジー・リカバリー」(エネルギー回収)や「サーマル・リカバリー」(熱回収)などと呼ばれ、リサイクルとは認められていないが、日本では熱の有効利用であるとして、いつの間にか「リサイクル」が語尾に付いた。いわば和製英語だ。

なかでもプラスチックは、次の製品の原料になる再生利用率が低いため、サーマルリサイクルが主要なリサイクル手法となっている。しかし、リサイクルと焼却はトレードオフの関係、いわゆる「あちらを立てれば、こちらが立たず」の関係だといわている。

例えば、富山大学経済学部のワーキングペーパー325巻(※)でも、過剰な焼却能力がリサイクルを減らすことが示され、焼却の増加によってリサイクルの増加が阻まれる可能性が示唆された。

サーマルリサイクルは、本来のリサイクルの足を引っ張ってしまうのだ。

脅威となったマイクロプラスチック

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