石灰石ペーパー「LIMEX」(ライメックス)を製造・販売するTBM社(東京・銀座、山崎敦義社長)が、弊社オルタナにオンライン記事の削除を求めた仮処分申し立てで、TBM社が3月29日、仮処分申し立てそのものを取り下げた。この審理では東京地裁が3月31日までに決定を出す予定だった。TBM社が土壇場になって取り下げたのは、同地裁がTBM社に不利な決定を出す可能性を感じ取ったとの見方もある。(オルタナ編集部)

TBM社の「LIMEX」製レジ袋

オルタナは2020年4月、「石灰石ペーパーLIMEXが『容リ法ただ乗り』の疑い」などの記事をオンラインに掲載した。これに先立つ2019年11月~12月には、緊急連載「石灰石ペーパー類は本当にエコか」(上)(中)(下)と題し、石灰石ペーパーの環境負荷などの問題点を指摘した。

容器包装リサイクル法は、最大成分がプラスチックの容器包装類に対して、一定のリサイクル委託料金を支払う必要があるが、最大成分がプラではない場合、委託料金支払いの義務はなくなる。

TBM社は、自社が販売する「LIMEX」製レジ袋について、「最大成分は石灰石であり、リサイクル料金を支払う必要はない」と小売業者などの自社顧客に説明していた。

ところがオルタナが2020年2月、LIMEX製レジ袋の成分検査を第三者検査機関である⼀般財団法人化学物質評価研究機構(CERI、東大阪市)に委託したところ、「プラスチック(ポリマー)が48.6%、炭酸カルシウムが41.1%」(いずれも重量%)との検査結果を同年4月に得た。

オルタナが依頼した検査結果のほかにも、LIMEX製レジ袋の炭酸カルシウム量が40%台前半であることを示す別の検査結果も独自に入手し、記事掲載に踏み切った。

これに対してTBM社は「記事は事実無根」だとして2020年7月6日、東京地裁に記事削除の仮処分申請を行った。その後、2021年3月までに合計8回の双方審尋期日が開かれ、双方がそれぞれの主張を展開した。

一連の審理では、CERIが実施した成分検査手法「ICP法」が妥当かどうかが最大の争点になった。オルタナは分析機器メーカーや他の検査会社などに改めてヒアリングをしたところ、「今回のような成分分析でICP法を使うのは適切であり、正確性にも問題はない」との見解を得て、証拠として東京地裁に提出した。

東京地裁が2021年3月31日までにどのような決定を準備していたかは不明だが、オルタナの下田一郎・顧問弁護士は「一般的には、裁判官とのやり取りなどから、申し立て側が自らに不利な決定が出るのを察知した場合、申し立てを取り下げることはある」と話した。

下田弁護士がTBM側弁護士から受け取った文書には申し立て取り下げの理由説明はなく、「今後、本裁判を起こしたい」旨の一文があった。

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オルタナ社長兼「オルタナ」編集長・森 摂の見解は次の通り。

「今回、オルタナの記事削除を求めた仮処分申し立てを、TBM自らが取り下げたのは不可解としか言いようがなく、当惑しています。当該記事の内容や根拠について、当社は自信を持っており、本裁判でも同様の主張をしていきます」

オルタナの下田一郎顧問弁護士の見解は次の通り。

「TBMの山崎社長は3月30日、オルタナ記事についての見解文書を同社ウェブサイトに掲載しました。しかし、山崎社長の文書では今回の記事削除仮処分申し立てについては一切触れず、自社にとって都合の良い情報だけ記載しています。これは、自社顧客や取引先、株主などすべてのステークホルダーや社会に対して不誠実です。TBMに対しては、どのような経緯でプラスチックが最大成分であるレジ袋が世の中に出回ったのか、明確な説明責任があると考えます」

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