「レジ袋は海ごみの0.3%」と言い訳してよいのか

政府は7月1日からレジ袋を有料化した。スーパーなど多くの小売り店舗が予告していたが、当日のレジで初めて認識した人にとっては寝耳に水であり、SNSにはレジ袋有料化に対する批判があふれた。そこで繰り返されたのが、「レジ袋を規制しても意味がない」という主張だ。果たしてそうだろうか。(オルタナ編集委員・瀬戸内千代)

レジ袋規制不要論の根拠として多くシェアされたのが、東京にある包材メーカーのウェブサイトだ。そこには「容積ベースではポリ袋は海洋プラごみのわずか0.3%なのに、ポリ袋(レジ袋もポリ袋の一種)が非難される」不条理がつづられていた。包材メーカーとしてポリ袋を擁護する企業の主張が、社会の共感を得て拡散した。

同サイトによると、0.3%という数字は環境省が2016年度に調べた全国10地点のプラスチック「漂着ごみ」の容量におけるポリ袋の割合である。

しかし、海ごみは「漂着」と「漂流」と「海底」に大別される。環境省の2018年度の調査によると、レジ袋は漂着よりも漂流ごみに多い。東京湾や大阪湾を漂流するレジ袋の個数は、木材など自然物も含めた漂流ごみの6%を占めている。

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瀬戸内 千代

オルタナ編集委員、海洋ジャーナリスト。雑誌オルタナ連載「漁業トピックス」を担当。学生時代に海洋動物生態学を専攻し、出版社勤務を経て2007年からフリーランスの編集ライターとして独立。編集協力に東京都市大学環境学部編『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』、化学同人社『「森の演出家」がつなぐ森と人』など。

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