栗田工業がバイオガス発電に資本参加、食品残さ活用

栗田工業はこのほど、特別目的会社である合同会社羽村バイオガス発電事業に資本参加した。出資額は非公表。同社はこれまで蓄積した水処理技術やメタン発酵技術のノウハウを生かし、再生可能エネルギーであるバイオガス発電事業に取り組む。食品廃棄物を原料としてメタン発酵により生成したバイオガスを使用して発電する。(編集委員・栗岡理子)

羽村バイオガス発電所

バイオガスとは、生ごみや糞尿などの発酵により発生するメタンガスなどのことで、そのまま放出させると地球温暖化を促進させてしまう。しかし、これを放出させずにエネルギー源として利用することで、地球温暖化防止対策につなげることができる。

羽村バイオガス発電所(東京都羽村市)は、食品廃棄物を原料としてメタン発酵により生成したバイオガスを使用して発電する。処理量は一日80トン、年間発電量は約770万kWh、一般家庭の約2100世帯分に相当する発電量だ。年内には電力供給を開始する予定。

同発電所は、アーキアエナジー(東京・港)の構想で、食品廃棄物のリサイクル率向上と温室効果ガスの削減に寄与することで、循環型社会の実現に貢献することを目的に設立された。都内では2例目、多摩地域では初めての大型食品リサイクル施設となる。水分の多い食品廃棄物を燃やさずに済むことからCO2削減になるとして、地元の期待も高い。

栗田工業は、この企画の趣旨に賛同して参画。同発電所に高濃度窒素排水および消化液脱水処理装置一式を納入した。今後、水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスの3つの事業領域を持つクリタグループの強みを生かし、バイオガス発電所に必要な排水処理設備をはじめ、同設備の適切な運転管理などを含めた総合ソリューションを提供することで、同発電所の安定操業に貢献する。

輸入木材チップやパーム油、パームヤシ殻など輸入バイオマス原料による発電が問題視される中、地域で発生する食品廃棄物を使ったこの都市型発電所に注目したい。

環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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