「謎肉」でCO2削減、日清食品が新たな環境戦略

日清食品グループは6月9日、新たな環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を発表した。「資源有効活用へのチャレンジ」「気候変動問題へのチャレンジ」を2本の柱とし、2030年度までにCO2排出量2018年比30%削減を掲げた。省エネ活動や再生可能エネルギーへの切り替えを通じて気候変動対策を強化するほか、食肉よりもCO2排出量が少ない「謎肉」として話題の大豆由来の代替肉の活用を進める。(オルタナ副編集長=吉田広子)

オンラインで会見を行った安藤宏基・日清食品ホールディング代表取締役社長・CEO

同グループが掲げる「2030年度までにCO2排出量2018年比30%削減」の目標は、科学的な根拠に基づいた目標であるとして、Science Based Target (SBT)イニシアチブから認定を受けている。

グループ全体の2018年度のCO2排出量は41.6万トンで、このまま事業成長すると2030年度には53.7万トンに増えるところ、総量で30%削減を目指し、29.1万トンに抑える方針だ。バリューチェーンを含むスコープ3でも目標を設定し、2030年度までに2018年度比で15%削減を目指す。

安藤宏基・日清食品ホールディング代表取締役社長・CEOは「なぜ環境問題に取り組む必要があるのか、自分たちがどの程度CO2を排出しているのか、社内全体で環境意識を高めるところから始めたい」と語る。

■「謎肉」のCO2は牛肉の12分の1

「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」は、「資源有効活用へのチャレンジ」と「気候変動問題へのチャレンジ」から成り、それぞれ活動テーマが設定されている。

「グリーンな食材で作る」という活動テーマでは、植物由来の代替肉の活用を進めるとともに、培養肉の開発にも力を入れ、実用化を目指す。「謎肉」と呼ばれる大豆由来の代替肉は、豚肉に比べ3分の1、牛肉に比べ12分の1、CO2排出量が少ないという。

「グリーンな電力で作る」という活動テーマでは、省エネ活動や再生可能エネルギーへの切り替え、非化石電源比率の向上などを進める。日清食品ホールディングス東京本社の使用電力の50%は2020年3月から「ごみ発電電力」で賄っている。

安藤CEOは「2030年の削減目標を達成するためには、電源構成の変更がカギを握る。だが、一般的に電力問題については進展していないのが現状で、化石燃料由来の電力が多くを占めている。原子力の可能性も低く、今後拡大していくのは再生可能エネルギーだろう」と話した。

このほか、「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」では、2030年度までに持続可能なパーム油の調達100%、水資源の使用水準売上高100万円当たり12.3立法メートル、廃棄物総量50%削減といった目標が掲げられた。同時にこれらを進めるためのサステナビリティ委員会も立ち上がった。

欧州を中心に、新型コロナウイルス感染拡大からの経済回復と、気候変動対策を整合させる「グリーンリカバリー」という動きがある。

安藤CEOは「3R(リデュース、リユース、リサイクル)やごみ焼却に関して、欧州とアジアでは考え方が異なるものの、CO2の削減は急務だ。CO2を削減するためにさらなる取り組みを進めていきたい」と力を込めた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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