ミミズの力でゴミもCO2も削減

このエントリーをはてなブックマークに追加

【写真】土壌改良剤「エコミミー」。多孔質の粒状で、軽くて扱いやすい

ミミズに食品廃棄物を与えて飼育し、フンを土壌改良剤として販売するビジネスが北海道で軌道に乗った。植物の生育に優れた効果を発揮すると好評だ。生ゴミを焼却処分せずに、生き物の力で有用物に換えるエコな試みで、ゴミと二酸化炭素の排出削減に貢献している。

「大地が生んだ万物を大地に返す」という理念を掲げるリサイクルファクトリー(札幌市中央区)は、ミミズを育てるため、2000年に農業生産法人ゆうきの里を設立した。300~1500平方メートルの大小4つの養殖施設で、主に地元産のミミズを飼育している。足かけ10年の試行錯誤を経て、ようやく数が安定してきたという。

ミミズは条件さえ整えば1年で1千倍にも増え、最大密度は10センチメートル厚の土壌1平方メートル当たり4千匹に達するという。

餌には食品工場から毎日排出される廃棄物を活用している。麺類や豆腐、野菜などの廃棄物を細かく粉砕し塩分を調整して与える。もともとミミズのフンは土を良くする性質を持つが、同社は餌や飼育環境の工夫を重ね、土壌改良剤として最適なフンになるよう研究してきた。

乾燥して袋詰めされたフンは「エコミミー」という名で、ガーデニング用に販売されている。卵は除去してあるので室内でミミズがわく心配はない。臭いもなく、むしろ脱臭作用がある。土の表面に薄く振りかけるだけで、土全体の保水性や通気性を良くして根の生育を促す。花の美しさや野菜のおいしさなど、量より質の向上に効くのが特徴だ。

同社の本村孝幸会長は「ミミズの腸を通ったフンには、1グラム当たり10~50億もの微生物がいる。化学的な成分だけでは説明できない高い効果が得られるのは、豊富な微生物の働きのおかげだ」と説明する。

1匹のミミズは1日たった0.1グラムしかフンをしない。飼育には広い敷地が必要で大量生産は難しい。そのため同社は敢えて販路を広げず、主に北海道内で流通している。全国に向けては、ミミズ活用の普及を願って「みみずタイヤコンポスト」の作り方をウェブで無料公開している。

「各家庭で生ごみを処理すれば、自治体が1トンの処理に約5万円もかけている経費が浮く」。本村会長は、ミミズが地域経済をも救う可能性を示唆する。

近年、「バイオミミクリ」や「ネイチャーテクノロジー」など、生き物の機能や能力の応用技術に注目が集まっている。地中に生息するミミズの活躍にも、改めて光を当てる必要がありそうだ。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)2011年1月13日

2011年1月17日(月)9:00

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑