取り残された被災地、長野県栄村

「豪雪の村」として知られる栄村。 家屋は51棟が全半壊

東日本大震災で被害を受けた土地に、徐々に支援が届き始めたなか、メディアから取り残された村がある。長野県にある栄村だ。3月12日午前3時59分に発生した震度6強、マグニチュード6.7の地震(震源地は長野県と新潟県の県境)に襲われたにもかかわらず、被災地として認識されていない。

「豪雪の村」として知られる栄村は、自然の豊かさと多彩な暮らしの営みが評価されて「にほんの里100選」にも選ばれた美しい村だ。その美しい自然の中でできる農作物、特にトマトや山菜、コメなどは高く評価されている。また、集落の集会所である「公民館」に村民が集まって村の決定を行ったり、誰かの家に集まってお茶飲みをするなど、日本の古き良き習慣と伝統と、自然が今でも共存し続ける村なのである。

しかし、震災による雪崩や土石流で、山々が崩れ落ち、瓦礫が地面を覆い、一瞬にして栄村の様相を変えてしまった。 家屋は51棟が全半壊、JR飯山線はレールが宙吊りになり、県道の路肩50メートルほどが崩落。 多くの村民の暮らしを支える田んぼには亀裂が入り、水路が山ごと崩壊するなどの被害で、今年の作付けも危ぶまれている。

村人たちにとって、今一番不安な問題は住宅だ。約2300人の村民の平均年齢は56歳。年金生活の高齢者は、家を直す資金を借りることは難しい。家が直せたとしても、主な生業である農業が復興できなければ、どんなに村が好きでも住み続けられる保証はない。

震源地が違うためか、東日本大震災の被災地として認識されず、メディアにも取り上げられずに、取り残されてしまった栄村に集まった義援金はほんのわずかだ。このままではこの美しい日本の村がなくなってしまう。そこで、大学生(フリーマガジンLily、やないけいこ、ダイガク.TV)を中心としたメンバーが栄村の実体を知らせる為、「栄村おこし」というサイトを立ち上げ、栄村復興の協力を呼びかけている。地震の被害からの復興だけではなく、この美しい日本の村を守っていくための長期的な支援を視野に入れた活動だという。(やないけいこ)

「栄村おこし」http://touhokukantoudaishinsai.com/

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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