事故コスト含めた原発コストを試算、公表へ――原子力委員会

内閣府・原子力委員会は13日、原子力発電にかかるコスト試算を見直す方針を示した。これまでの試算では組み込まれていなかった原発事故が起きた場合の費用を反映させる。東京電力福島第一原子力発電所の事故の損失額をベースに、損害賠償や廃炉などにかかる費用を加える。

発電コストは、評価者によりまちまちだった。透明性を高めた形で国が公表することで、エネルギーと原子力をめぐる国民的な議論の一助になることが期待される。

政府・経産省がこれまで公表していた計算方法では、IEA(国際エネルギー機関)の方式を参考に設備の稼働年数・稼働率と発電量、建設費、売電価格の総量などから算出していた。これでは発電量の巨大な原発のコストが下がる。06年に経産省が公表した試算では1キロワット時当たりの価格で、原子力が最も安く5円から6円、液化天然ガス火力が6円から7円。一方で自然エネルギーでは、太陽光が47円、風力が11円から20円など、高めに算出されていた。

原子力委員会では今後シビアアクシデント(重大事故)による原子力災害の発生を仮定して、予測される損害額を試算。失った財産価値、除染費用などの物理的損害に加えて、人的損害や経済・社会的損害も考える。今回の福島の原子力事故では、国の調査委員会によると、東電の支払う賠償額は2011年度から13年度にかけて4兆5000億円と試算され、損害総額はそれ以上になると見込まれている。(オルタナ編集部=石井孝明)

原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会資料

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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