静岡の企業がジャワ島で1万本を植林

一体感を持って植林活動を行うために、参加者は同じTシャツを着用する

仏壇・仏具を販売する お佛壇のやまき(静岡市、浅野秀浩社長)は10月16日、静岡大学の学生22人と共にジャワ島中部ジャワ州カランガニュアル県を訪れ、1万本の植林を行なった。

樹木は地域に適したイジュ、シナモン、アカシヤなどの複数の種類を選択した。現地では、森林破壊のために野生動物のえさが激減しており、サルやイノシシなどが田畑の作物を荒らす獣害も深刻だ。そのことも踏まえ、地域の動物が好むアボカド、ジャックフルーツ、リュウガンといった3種類の果樹も各800本が植えられた。

同社では2006年からインドネシアのジャワ島で、村人と共に苗木の植林活動を展開してきた。商材の仏壇はリサイクルが困難だ。そのため、絶えず材料になる木材の伐採を必要とする。これは、世界的に広がる環境保護活動に逆行するとし、この活動が始まった。

6年前に最初の植林を行なった際は、住民による森林伐採で山林は荒廃していた。山の保水力も著しく低下しており、植林地脇の川は干上がっていた。現在は、これまでに植林した5万9000本の樹木がしっかりと根付いている。今回の訪問では、乾季にも関わらず豊富な湧水を確認できた。

植林する場所を同地域に選んだ理由について浅野社長は「植える場所はあるが木を植える資力がない地域を探した。3つの地域から声があがった中で、木を伐採したことを深く反省し、植えた木を村全体で育て上げるモチベーションを一番強く感じた」と説明した。

現地では植林するだけでなく、環境NGOからスタッフを地元小学校に派遣。自然を守る大切さを環境教育の一環として教えている。地元行政の後押しも大きい。カランガニュアル県知事は自然保護の大切さを優先し、次々に条例を改正している。

「今では、条例により、木を無断で伐採することはできない。現地行政だけでなく、住民も、私たちと同様に植林した先にある世界を描いている。その姿勢が頼もしい」(浅野代表取締役)。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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