崩壊するエネルギー基盤、世界はその先に何を見るのか--NPO法人「もったいない学会」会長 石井吉徳 1/2

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4.地球温暖化研究の最近の成果、CO2削減をどう見る
温暖化は人類最大の危機と思っている人が、今でも大勢です。メディアは2100年には海水面が何mも上昇する、農業も大打撃、森林の生態系変化、北極では白熊が絶滅する、などと危機を煽りますが、最近の冷静な科学研究によると、地球は今むしろ寒冷化しているというのです。


(ASPOによる、CNNで報道される)

このような事実を温暖化懐疑論と決め付けないで、多様な見解があると国民にそのままお知らせすべきでしょう。それが科学的と思います。IPCCの盲従もそろそろ終わりにしないと、国際的な力学に翻弄されます。いまでは排出権取引で日本は損するばかり、原発の放射能汚染のほうが遙かに重大です。

温暖化対策をエネルギー問題として考える
温暖化はエネルギー問題そのものです。でも多くの人はそう思っていません。温暖化についての自然科学的な事実も、正しく伝わっていません。氷河が融ける,白熊が可愛そう、南極半島が今では植物の生えるツンドラ地帯のようになった、21世紀末には何mも海水面が上昇するなどと、脅威は増幅されます。

私は1993年ころ、サウジアラビア、ドバイ、アブダビに行き、アブダビ石油公社(ADNOC)の総裁にも会ったことがあります。大きな総裁室で、窓の外を見れば陽光に照らされる黄色っぽく輝くペルシャ湾が見えました。黄色は、ペルシャ湾は浅いからです。

当初は5分ぐらいの表敬訪問の予定でした。型どおりの挨拶のあと、ちょうど地球温暖化が話題になっていた頃だったので、私はグリーンランドの氷について質問しました。彼は当然氷が溶けて薄くなっていると思っている。私は逆に内陸部では厚くなっていると話しました。

「この100年で地球は0・6~0・7度ぐらい温かくなり、水の蒸発量が増えた。しかし年間平均気温がマイナスのところでは、降るのは雨ではなく雪。それが積もって氷となるので、氷がむしろ厚くなっているのだ」、と。総裁は身を乗り出し、温暖化とエネルギー問題について次々質問。気づいたら1時間以上が経っていました。

後で日本大使館の全権大使に「日本人が石油公社の総裁室で、そんなに話し込んだのは初めて」と言われました。そのぐらい珍しいことだった。

当時日本が石油を一番輸入していたのはアブダビで、日本の財界のトップなども訪れていました。しかしビジネスが殆どで、興味を惹く話をする人はおらず、つきあいも薄いものだったようです。

一方、ヨーロッパと中東は文化・歴史を含めた長い付き合いがあります。

欧米の国々は、中東の石油埋蔵量に関するデータを豊富に持っている。石油が減耗すれば、温暖化の気温上昇はIPCCの予測を下回ります。彼らはオイル・ピークが分かっての確信犯なのかもしれません。

国際的情報は客観的とは限らない、誇張される石油埋蔵量
国際機関、組織が公に流す「情報」は、元々かなり政治的です。IPCCが基礎とするOPECの公式的な埋蔵量などは、二次、三次的な情報です。地質的なファーストハンド、つまり一次情報以外は情報とは言えません。

1980年代、中東の石油埋蔵量を政府が公表する数字が一挙に増えたことがあった、それは石油生産の枠が埋蔵量に準拠したからで、それぞれの中東産油国が勝手に増やしたに過ぎなかったのです。

それでも政府発表ですから、嘘とはいえない。それを集計するのが国際機関ですから、それを政治的な数字と理解するのが常識、それが国際政治です。ですが日本はそこから発想する、大学の先生方も情報不足、そして深くは考えません。

私は1997年のCOP3の時、国立環境研究所の所長として京都会議に参加しました。それは国益がぶつかりあう場所でした。IPCCだけに頼って議論していては戦略的に危ないと感じました。

日本は排出権取引などで、世界からお金を取られるだけ、それでは駄目です。長年の欧米追従の癖が抜けない日本の識者です、国際的にとても幼いのです。IPCCの御用学者のようでは、強かなか人々には牛耳られてしまいます、よほど注意しないと。

プロフィール いしい・よしのり
東京大学名誉教授、「もったいない学会」会長、工学博士。1955年、東京大学理学部物理学科(地球物理学)卒業、帝国石油、石油開発公団などに16年間、東京大学工学部23年間(資源開発工学科助教授、教授)。93年退官、名誉教授。国立環境研究所副所長を経て96年から98年まで所長。その後、富山国際学園特命参事・同大学教授を経て、2006年もったいない学会設立、会長。

著書に『エネルギーと地球環境問題』(愛智新書)、『石油最終争奪戦』、『石油ピークが来た―崩壊を回避する「日本のプランB」』、『知らなきゃヤバイ! 石油ピークで食糧危機が訪れる』(いずれも日刊工業新聞社)など

NPO法人 もったいない学会
問い合わせ guest@mottainaisociety.org

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2011年12月26日(月)13:46

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