「世帯所得が少ないほど、野菜を食べる量が少なかったり、運動しなかったりと、健康をつくる生活習慣に問題がある傾向がある」。こうした結果が、厚生労働省が31日公表した国民健康・栄養調査で分かった。
調査は国民の食事や生活習慣を把握するために毎年行われ、今回は初めて所得との関係を調べた。厚労省は「低所得者には生活を改善する時間的余裕がないとの指摘がある。これまでは健康増進のために個人の行動だけではなく、社会環境の整備も必要だ」と分析した。
同調査では、世帯所得を200万円未満、200万円以上~600万円未満、600万円以上に分け、年齢、世帯員数を調整したうえで、世帯の所得が600万円以上の世帯員を基準として、体型、食生活、運動、たばこ、飲酒、睡眠の状況を比較した。
肥満者の割合は、男性では差がみられず、女性では200万円未満と200~600万円未満の世帯で高かった。習慣的な朝食欠食者の割合は、男性では200万円未満と200~600万円未満の世帯で高く、女性では200万円未満の世帯で高かった。
また野菜摂取量は、男女とも200万円未満と200~600万円未満の世帯で少なかった。運動習慣のない者の割合は、男性では200万円未満の世帯で高く、女性では200 万円未満と200~600万円未満の世帯で高かった。現在習慣的に喫煙している者の割合は、男女とも、200万円未満と200~600万円未満の世帯で高かった。
一方で飲酒習慣者の割合は、男性では200万円未満の世帯で低く、女性では差がみられなかった。睡眠の質が悪い者の割合は、男性では差がみられず、女性では200~600万円未満の世帯で高かった。
生活習慣病の予防、改善を目的とした生活習慣の改善に取り組んでいる者の割合は男性50.4%、女性57.6%。たばこでは現在習慣的に喫煙している者の割合は男性32.2%、女性8.4%、総数19.5%であり、前年に比べて男女とも減少した。
また、現在習慣的に喫煙している者で、たばこをやめたいと思う者の割合は男性35.9%、女性43.6%。前年に比べて男性は増加し、女性は変わらないという。(オルタナ編集部=石井孝明)