「公教育の質を向上し、教育格差を解決する」 ――米就職人気の教育NPO創設者ウェンディ・コップ氏が来日、日本でも本格始動へ

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来日したティーチフォーアメリカ創設者のウェンディ・コップ氏(右)とティーチフォージャパンの松田悠介代表

教育格差を解消し、すべての子どもたちに質の高い教育の提供を目指すNPO「ティーチフォーアメリカ(TFA)」。1990年の設立以来、優秀な学部卒業生を教育困難地域にある学校に常勤講師として2年間赴任させることで、公教育の向上を図ってきた。

日本でも2012年1月に「ティーチフォージャパン(TFJ)」が正式発足し、2013年度から教師を派遣する予定だ。このほどTFA創設者のウェンディ・コップ氏が来日した。

■ 成績伸ばし、進学率を向上させる

TFAはニューヨーク市に本部を置く教育支援NPOで、創設者のコップ氏がプリンストン大学在学中に立ち上げた。これまでに1600校以上の学校にのべ3万人以上の教員を派遣し、300万人以上の子どもたちが授業を受けてきた。

TFAの教師は、採用の段階で、リーダーシップを重要視されている。さらに、赴任前に5~6週間の合宿に参加し、指導法の訓練や教材開発、実践授業などのトレーニングを行う。

その結果、TFAの教師は、他の教師に比べて1.2~1.3倍、生徒の成績を伸ばし、大学進学率を向上させているという。

コップ氏は、「教育の不均衡は必ず解決できる。若者の情熱とエネルギーは、社会課題を解決に導く。TFAは単に教師を提供しているのではなく、教師自身のリーダーシップの育成にもつながる」と話す。

教える経験は、高い目標設定と現実とのギャップの認識、信頼関係の構築など、リーダーに必要な能力を学べる貴重な機会となる。プログラム終了後は、教育業界に就職する人が多いが、政治家や起業家となって教育改革に携わっている人もいる。

「ティーチフォーオール」としてグローバルにも展開し、英国、メキシコ、中国など世界23カ国で組織化されている。さらに、2010年度の米国就職先人気ランキングでは全米1位(文系/ユニバーサム社調査)、2011年度にはウォルト・ディズニー社、国連に続き全米3位(同)を獲得するなど、高い人気を誇っている。

■ 日本でも7人に1人は就学援助が必要

日本でも、世帯年収の格差による教育格差、学力レベルの低下、教員の多忙化、デジタル時代の次世代型教育の開発といった多くの課題がある。文部科学省の発表によれば、2010年に就学援助の対象となった児童・生徒は155万人で、全体の15%を上回る。

元体育教師の松田悠介氏は、日本の教育問題に直面し、ハーバード大学に留学し教育修士号を取得。TFAに感銘を受け、TFJの前身となる「ラーニングフォーオール」を2010年に設立。2012年1月には正式にTFJを立ち上げた。現在は、2013年4月に40人の教師派遣を目指して、各自治体の教育委員会との交渉を続けている。

松田氏は、「適切に人材を派遣するのが課題。本当に支援が必要な緊急性の高い地域に教師を派遣したい」と意気込む。(オルタナ編集部=吉田広子)

 

2012年4月12日(木)13:31

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