フタバを他人事にしない映画、10月公開

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舩橋淳監督

福島県双葉町の集団避難は間もなく19カ月目に入る。人々は旧騎西高校(埼玉県加須市)の校舎で、調理もできず教室を寝床とする生活を続けてきた。その日々を追ったドキュメンタリー映画「フタバから遠く離れて」が、10月13日に公開される。

双葉町の人口の約5分の1が役場機能ごと落ち着いた先は、250キロメートルも離れた廃校だった。2011年3月末に1400人規模で始まった集団避難生活は、9月18日現在187人まで縮小している。しかし、相変わらず故郷の町は警戒区域指定で、「一時立入り」しか許されていない。

今も旧騎西高校の撮影に通う舩橋淳(ふなはし・あつし)監督は、「この避難所から、原発事故の全ぼうと日本の原子力政策のすべてが透けて見える」と語る。

2011年末、野田首相の事故収束宣言を受けて、監督は9カ月で撮りためた約300時間の映像を96分の作品に仕上げた。その現実を伝えるために、世界各地の映画祭に出品した。

副題の「Nuclear Nation(核の祖国)」は、原発を推進してきた双葉町を指す。映画は、過酷事故に直面して見解を変えざるを得なかった井戸川克隆(いどがわ・かつたか)町長の苦悩を克明に映し出す。

特に、全国原子力発電所所在市町村協議会の総会の場面では、双葉町長と他の原発立地首長との温度差が際立つ。会議冒頭で「公務」を口実に退席する海江田元経産相や細野原発事故担当相も映し出される。

「海外でインタビューを受けると、必ずと言って良いほど『あれは公務ではないのか』といった質問が出る」と監督は苦笑いする。

避難所の生活を追ったカメラは、避難の影響で餓死した牛からも目を背けない。監督は制作の意図について「被害者意識を訴えても、見る人の心は乱れない。他人事にできるからだ。そうではなく、批判の刃が自分に突き返ってくるような作品にしたかった」と語る。

上映はオーディトリウム渋谷で10月13日から。初回には、井戸川町長と舩橋監督のトークがある。また、3.11から1年間の取材エピソードを監督がつづった『フタバから遠く離れて――避難所からみた原発と日本社会』(岩波書店)も同日に発売される。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

2012年9月24日(月)12:24

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