サステナ担当リレーコラム:  パナソニック（第２回）

■サステナ担当者リレーコラム（34）

企業のサステナビリティ担当者のリレーコラムです。参加するのは、14社のサステナビリティ/CSR担当者の皆さん。SDGsや脱炭素など、サステナビリティの潮流は高まるばかりです。CSR活動もますます重要になっています。各企業の担当者には、「自社の一押し活動」から日々の悩みなどを書いていただきます。第34弾はパナソニック オペレーショナルエクセレンスの企業市民活動推進部に所属する執行修司さんです。

＊CSRリレーコラム参加企業一覧

フジテレビジョン
日本航空
セブン＆アイ・ホールディングス
リクルート
千代田化工建設
リコージャパン
帝人
ゴールドマン・サックス
三菱地所
メルカリ
ユーグレナ
パナソニックホールディングス
リクシル
KDDI

■水揚げ量は震災前の2割程度

東日本大震災から10年以上が経過し、東北地方全体では復興が進んでいます。一方、福島県の水産業においては、様々な食の安全に向けた取り組みが行われる中、「沿岸漁業の水揚げ量が震災前の2割程度しか戻っていない」という状況です。こうした現状を知ったことで、「パナソニックとして何かできることはないか」と考え始まった活動が、グループ一体で取り組んでいる福島「復興」応援アクションです。

当社グループでは、2018年から社員食堂でサステナブル・シーフードを提供しています。この取り組みを起点に、従業員や一般の方々の消費行動変容を通じて、SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」の達成に貢献しています。

福島「復興」応援アクションでも、2022年からこの「社員食堂を通じた社会課題解決のスキーム」を生かして、「食」を通じた支援に取り組んでいます。

鯖やメヒカリなどの福島県産の魚や農畜水産品を食べて応援します。震災復興とSDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献できればと考えています。

■国内22拠点の社員食堂で、福島県産品メニューを提供へ

この取り組みを進めるにあたり重視したのは、従業員自らが「選んで美味しく食べる」ことです。活動の押し付けではなく、従業員が取り組みの意義や目的、福島県の食の安全に向けた取り組みを正しく理解することを重視しました。

そこで、福島県庁の担当者を社内セミナーに招き、食の安全に向けた取り組みを講演いただきました。

福島県産品の提供日には社員食堂に取り組みの意義を紹介したパネルやリーフレットなどを設置します。取り組みの認知向上や理解醸成に努めます。

一方で、給食会社の多くが、福島県産品の調達ルートがなく、一から調達ルートを開拓する必要がありました。

折しも、コロナ禍による出社従業員数の減少や、物価高騰などの状況下で、新規に調達ルートを開拓していただくことは容易ではありませんでした。

ですが、福島県庁や給食会社と何度も相談しながら、食材に応じた調達候補先の選定を始めました。取引開始時の必要条件、仕入れ量や納期などの運用面の課題を一つずつ解決していきました。

関係先の皆様のご協力やご支援により、プロジェクト開始から1年半を経過した現在(2023年9月末)では、国内22拠点の社員食堂で、定期的に福島「復興」応援メニューの提供が実現しています。

■「様々なカタチで取り組みの輪を広げたい」

「食べて応援する」だけでなく、「買って応援する」取り組みも行います。福島県のご協力のもと、社員食堂での福島県産品の提供日にあわせ、福島県産品の直売会である「ふくしまマルシェ」も開催しています。

マルシェ開催時には、多くの商品が完売になるほど毎回多くの従業員が購入します。この取り組みを通じて福島県をより身近に感じ、従業員の家族や友人にも取り組みの輪を広げていくきっかけになるよう努めています（2023年9月末現在8拠点で開催）。

8月に開催した「ふくしまマルシェ」では、子どもたちの映像制作支援プログラム「キッド・ウィットネス・ニュース」の一環として、福島県いわき市の中学生が取材をしました。

漁港や桃の生産現場、当社グループCEOや本アクションの取材を通じて、福島県の魅力や特長、生産者の想いを学びました。当社グループが福島のことを忘れずに心を寄せて応援していることを体感いただく機会づくりになりました。

さらに、9月には三井不動産ビルマネジメントと連携し、東京ミッドタウン日比谷で「ふくしまマルシェ」を初めて社外で開催するなど、取り組みの輪を社外にも広げるべく展開を進めています。