記事のポイント
- 公正取引委員会は使用済みペットボトルの回収に関する報告書を公表した
- 「廃ペットボトルの独自回収の阻害」は「独禁法違反の恐れがある」とした
- 背景には、飲料メーカーが自治体などから独自にペットを回収する動きがある
公正取引委員会は10月16日、使用済みペットボトルの回収・リサイクルに関する調査報告書を公表した。その中で、「使用済みペットボトルをメーカーが自治体から独自回収すること」を阻害する行為は「独禁法違反の恐れがある」と指摘した。(オルタナS編集長=池田 真隆)
この数年、飲料メーカーがリサイクル業者と組み、使用済みペットボトルを独自回収し、再利用してペットボトルにする「ボトルtoボトル」の取り組みが広がってきた。例えば神奈川県箱根町とサントリーグループ、埼玉県吉見町とコカ・コーラボトラーズジャパンなどの取り組みがある(公取委資料から)。
飲料メーカーが自治体などからペットボトルを独自回収する背景には、気候変動・脱炭素や、海洋プラスチックごみ問題という国際的な流れがある。
ペットボトルのリサイクル・再利用によって、CO2の削減効果は42%に達したとの試算もある(PETボトルリサイクル推進協議会調べ)。ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも、「ボトルtoボトル」を進めたい飲料メーカーの思惑もあった。
一方、日本では、容器包装リサイクル法(容リ法)が1997年に施行されて以来、ペットボトルなどの容器包装を利用する飲料メーカーに再商品化とリサイクル委託金の支払いを義務付ける仕組みが長く続いてきた。
再商品化の対象は、一般廃棄物(家庭ごみ)のペットボトル、プラスチック製容器包装、ガラス瓶、紙製容器包装――の4つだ。同法は、「拡大生産者責任」という考え方を導入している。生産者が製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方だ。
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紙パック、段ボール、アルミ缶、スチール缶も容器包装だが、同法が施行した1997年当時から資源価値が高く、リサイクル業者が市町村に有償で引き取り、再商品化していた。そのため、同法では特定事業者による再商品化義務の対象に入れなかった。
一方、これまでペットボトルやガラスびんなど4種類は資源価値が低く、公益財団法人日本容器リサイクル協会(容リ協会)が飲料メーカーから「リサイクル委託料」を受け取るとともに、リサイクル業者に入札を経て委託する業務が続いていた。ただし、何にリサイクルするのかは、指定はできなかった。
ここ数年、リサイクル需要の高まりを受けて、資源として売れるようになったことで取引形態が変わってきた。各メーカーが自治体と連携協定を結んで、使用済みペットボトルを直接調達するなど、ペットボトルの争奪戦が起きている。こうした状況に公取委は独占禁止法上での考え方を示した。
■容リ協会ルートで使用済みペットの「3分の2」を回収
■飲料業界は30年に「ボトルtoボトル」比率50%掲げる
■容リ協会、独自回収は「容リ法の精神に沿っていない」