記事のポイント
- 欧州ではESG領域のデューデリジェンス(DD)を義務化する動きが加速する
- そもそも、DDとは何か、何に則って行えばいいのだろうか
- ESG領域のDDに取り組む上で重要な「7つのステップ」を紹介する
欧州を中心に、ESG領域のデューデリジェンス(DD)の実施や情報開示を義務化する動きが加速する。そもそも、DDとは何か、何に則って行えばいいのか。最新動向とともに、DDに取り組む上で重要な7つのステップを紹介する。(オルタナ副編集長=池田真隆)
環境省はこのほど、環境デューデリジェンス(DD)に関するセミナーを開いた。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの正垣裕太郎・副主任研究員が登壇し、最新動向と環境DDに取り組む上で重要な7つの考え方を解説した。正垣・副主任研究員の講演の要旨をまとめた。
■義務化されない日本で何をもって「DD」と呼べるのか
日本で、デューデリジェンス(DD)は義務化されていないが、何をもってDDと呼べるのだろうか。参考になるのが、経済協力開発機構(OECD)が策定した、「OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」だ。
この指針は、多国籍企業に対して責任ある行動を自主的にとるよう勧告したものだ。2011年の指針改訂において、企業行動による負の影響を特定・防止・軽減するため、「企業はリスクベースのDDをリスクマネジメントに取り入れるべき」という規定が盛り込まれた。
リスクベースとは、リスクが大きいものから取り組むことを指す。企業はDDを実施する際に、できるところから対応するのではなく、自社にとってのリスクの大小を見極めなければいけないのだ。
同指針では、「DDの性質と範囲は、個々の状況下の事情に依る」とし、次のようにDDの方針を定めた。
「自社の活動を通じて負の影響を引き起こす又はこれを助長することを回避し、負の影響が生じた場合は、救済を提供する、又は救済に協力するなどを通じ、これに対処する」(一般方針、第12項)
「企業が負の影響を助長していない場合であっても、ビジネス上の関係によって、そうした負の影響が自社の事業活動、製品又はサービスに直接結びついている場合は、負の影響の防止又は軽減に努める。これは、負の影響を引き起こした事業体から、ビジネス上の関係関係にある企業に責任を転嫁することを意図するものではない」(一般方針、第13項)
■負の影響を停止・防止・軽減する5つのプロセス
■すべての企業は、環境に何らかの負の影響を与えている
■マテリアリティ(重要課題)の特定についてもDDは必須に