産業技術総合研究所(産総研)バイオメディカル研究部門は9日、NECスマートエネルギー研究所、宮崎大学農学部と共同で、微細藻の一種であるミドリムシ(ユーグレナ)を主原料とした微細藻バイオプラスチックを開発したことを発表した。
本研究は、科学技術振興機構の先端的低炭素化技術開発の一環として行われた。ミドリムシは、食糧と競合しない非食用で、石油由来製品を代替する植物由来資源として注目が集まっている。
水中で光合成する微細藻類は、陸上植物よりも太陽エネルギー利用効率が高い。特にミドリムシは高濃度の二酸化炭素を直接利用でき、高い光利用効率の実現が可能だという。食品工場などの安全な廃液を用いた培養も可能だ。
このバイオプラスチックは、ミドリムシが作り出す多糖類が主原料。そこに、同じくミドリムシ由来の油脂成分から得られる長鎖脂肪酸やカシューナッツ殻由来の油脂成分カルダノールを付加して合成された。植物成分率は約70%で、熱可塑性と耐熱性にも優れている。
産総研バイオメディカル研究部門・芝上基成主任研究員によると、「将来的には実用化を目指しているが、時期は未定」だと言う。今後は、実用化に向けて大量培養法などの改良を重ねていく。芝上研究員は「資源の有効利用にも役立てていきたい」と話す。(オルタナ編集部=吉田広子)