記事のポイント
- EVバッテリーに不可欠なニッケルの需要が拡大している
- 一方で、ニッケル採掘に伴う森林破壊や人権リスクへの懸念が高まる
- 欧州の投資家は、自動車メーカーなどに環境・人権DDの強化を求めている
電気自動車(EV)バッテリーに不可欠なニッケルの需要拡大を背景に、特にインドネシアなどで採掘が急増している。ニッケル採掘に伴う森林破壊や人権リスクへの懸念が高まる中、欧州の投資家は、自動車メーカーや電池メーカーに対し、サプライチェーン全体での環境・人権デューデリジェンスの強化を求めている。運用資産約4.5兆ドルに上る約36社の投資家が共同書簡に署名し、資本市場からの圧力を強めている。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)

電気自動車(EV)のバッテリーに不可欠なニッケル需要が拡大し、特にインドネシアなどで採掘が急増している。ニッケルは、こうしたエネルギー転換を支える「移行鉱物(トランジション・ミネラル)」の一つとされる。
国際エネルギー機関の「Global Critical Minerals Outlook 2025」によると、ニッケル需要は2040年までに約2倍に拡大する見込みだ。需要増の約85%は、電気自動車(EV)や蓄電池、再生可能エネルギー、送電網といったエネルギー分野が占める。
一方で、環境・人権分野の国際NGO マイティ・アース(米国)、クライメート・ライツ・インターナショナル(米国)、グローバル・ウィットネス(英国)などは、ニッケル採掘に伴う違法な森林伐採や水質汚染、先住民の権利侵害を指摘している。
特に、先住民の「自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)」が十分に確保されていないとし、地域住民との対立、威圧・暴力といった人権侵害のリスクを問題視している。
FPICとは、先住民族の土地や資源に影響を与える事業に対し、「自由な意思で、事前に、十分な情報に基づいて同意」する権利を指す。国際連合の2007年の「先住民族の権利に関する宣言」で示された国際基準で、強制や脅迫のない環境での意思決定を保障するものだ。
■機関投資家約36社が自動車メーカーにコミットメント求める

