アジア最大の総合製紙メーカー、自然林伐採の全面的中止

2月5日APPの「森林保護に関する方針」の発表会見の様子。写真はAPPの新しい森林保護に関する方針を、APPグループのテグ・ガンダ・ウィジャヤ会長(写真左)がインドネシア政府のズルキフリ・ハサン森林大臣(写真右)に手渡している場面

インドネシアや中国に生産拠点を持つアジア最大級の総合製紙メーカーであるアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は2月1日、すべての原料供給会社の自然林伐採を中止した。今回新たに策定した「森林保護に関する方針」のなかで発表した。

APPは年間1800万トンを超える紙、加工製品を生産しているアジア屈指の大手企業だ。新聞用紙、微塗工紙以外のほぼ全ての生産品種を取り扱い、6大陸120カ国以上の国々に製品を供給している。

2012年6月に発表した「APP持続可能性ロードマップ」では、APPが保護価値の高い森林(HCVF)原則を導入し、2015年までにサプライチェーン全体で自然林の伐採を終了する計画だったが、2年近い前倒しで実現した。

今後APPおよびその原料供給会社は、HCVFの原則に従い、非営利団体トロピカル・フォレスト・トラスト(TFT)が行う、高炭素蓄積(HCS)評価で特定された森林に覆われていない地域でのみ開発活動を行うことを誓約した。

APPグループは、第三者機関が監視プログラムに参加し、誓約が履行されていることを確認するよう奨励している。誓約を遵守していない供給会社が判明した場合、APPは購入を取り止め、その他の契約を破棄する意思を表明した。

APPグループのテグー・ガンダ・ウィジャヤ会長は「これはAPPグループのきわめて重要な誓約であって、投資である。我々がこれに取り組む目的は、当社の事業の持続可能性を高め、社会に貢献することにある。APPは紙パルプ産業の世界的リーダーであり、リーダーにふさわしい役割を果たしていく所存だ」と語る。

TFTエグゼクティブ・ディレクターのスコット・ポイントン氏は「きわめてセンシティブな地域における最大手の林産物メーカーであるAPPは、自らの過去の評判を見事に払拭し、今や業界をリードする立場にある。新しい『APP森林保護に関する方針』は、同社の自然林破壊という汚名を拭い去り、先住民族や地域コミュニティの権利を尊重するものだ」と話す。(オルタナ編集部=副島久仁彦)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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