記事のポイント
- CDPは、気候変動対策の優れた119都市を「Aリスト」として公表した
- 日本からは東京だけが「Aリスト」になり、昨年の5都市から減少した
- 世界各都市で気候変動対策の取り組みが進む
国際的な気候変動情報の開示を推進する英NGOのCDPは11月14日、世界の自治体の気候変動対策レベルを評価する「CDPシティ」で、最高位となる「Aリスト」を獲得した119都市を公表した。日本から「Aリスト」入りしたのは、昨年の5都市から減り、東京だけだった。インドネシアやベトナム、フィリピンなどから新たに47都市が「Aリスト」入りし、世界各都市で気候変動対策の取り組みが進んでいることが明らかになった。(オルタナ編集部・北村佳代子)

企業、都市、州、地域の環境情報開示システムを運営する英NGOのCDPは、第6回目となる「CDPシティ」の評価結果を公表した。透明性、野心、気候変動への果敢な取り組みなどの観点から、世界の環境リーダーとして認めうる119都市を「Aリスト」として称えた。
「Aリスト」を獲得した都市は、今回の評価対象となった全939都市の約13%だ。東京はこれで3回目の「Aリスト」入りを果たした。
CDPのデータ分析によると、約80%の都市が、熱波や洪水などの気候災害に直面しており、約70%の都市が、今後気候災害がさらに激しくなると予測しているという。多くの都市が、気候変動対策を事業の主流としたことで、「Aリスト」選定基準が厳格化する中でも、「Aリスト」を継続的に獲得する都市が増えた。
グローバル・サウスにおいてもこの傾向は顕著で、エクアドル、ペルー、ヨルダンからは2度目の「Aリスト」入り都市が出たほか、チリとマレーシアからは3度目、アルゼンチンと南アフリカからは6度目となる「Aリスト」都市が選定された。
イスタンブール(トルコ)、ジャカルタ(インドネシア)、ボゴタ(コロンビア)、カントー(ベトナム)などの47都市(「Aリスト」全体の4割)が今年初めて「A」を獲得した。
CDPシティの州・地域プログラム担当のマイア・カトナーグローバル・ディレクターは、以下のようにコメントした。
「2023年は、何世紀にもわたる気候の記録が、わずか数日、数週間で更新されただけでなく打ち破られた年として記憶されるだろう」
「世界中の都市が、熱波から洪水まで、この年の気候関連災害の威力を感じた一方で、非常に多くの都市が具体的な施策を実践して気候変動に取り組む模範を示している」
■「Aリスト」の都市では再エネ利用が増加
「Aリスト」に選定された都市は、選定されなかった都市よりも、約4倍の緩和・適応策を講じているとCDPは分析する。
「Aリスト」に選定された都市では、再生可能エネルギーの利用拡大も進む。
エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率は、米サンフランシスコでは84%、エクアドルの首都・キトでは86%、ノルウェーの第3の都市・トロンハイムでは91%に上る。
ほかにも、「Aリスト」都市では先進的な取り組みが広がる。
■水の再利用が進むリマやトロント
■湿地帯の復元や「ミツバチのバス停」設置も
■乗り物の電動化は、路線バスや海上タクシーにも
■パリは2.7万人の気候ボランティアが活動
■「使い捨て食器類」の提供に制限をかける自治体も
■ベトナムやフィリピンの都市もランクイン