■主催者「地域の資源を引き出したい」
恵まれた自然環境を有し、本土とは異なる独自の歴史と文化を育んできた沖縄の主要産業は観光だ。県のまとめによれば、年間入域観光客数は2008年を境にほぼ横ばいで推移するが、それでも毎年550万人以上が訪れ、観光収入は11年で3782億円に達する。繰り返し沖縄を訪れるリピーターも観光客全体の約8割と高水準を保っている。

今回のツアーを企画した同NPOの尾崎由嘉氏は「農家や漁師が普段していることと同じ体験を提供することで、体験内容が少しハードでも自然の中でやり遂げた達成感が『また来てみたい』という思いにつながっていく」とエコツアーの意義を強調する。
ビーチで知られる恩納村や、美ら海水族館がある本部町など、周辺の自治体と比べると観光地としての印象はやや薄い名護市。しかし尾崎氏は「農漁業体験や自然体験などを通じて、これまで知られていなかった名護の魅力を引き出していきたい。自然環境を守りつつ地域の資源を活用することでリピーターが訪れるようになれば、地元にとってもメリットが生じるのではないか」と展望を抱く。
同NPOが現在受け入れているエコツアーの参加者は年間約3千人だが、今後は名護市でのエコツアーを実施することで15年までに同5千人へと増やしたい考えだ。(オルタナ編集委員=斉藤円華)