記事のポイント
- 気候変動に関心の高い若者のアイデアが、企業と地域を動かした
- 地域市民を巻き込んで、東急電鉄の脱炭素の取り組みを伝えるポスターを作った
- 環境課題に先進的に取り組む企業と、それを応援したい若者の協働を辿った
気候変動に関心の高い若者のアイデアが、企業と地域を動かした。若者が地域市民を巻き込んで、東急電鉄の脱炭素の取り組みを伝えるポスターを制作した。気候変動に先進的な取り組みを行う企業と、それを応援したい若者はどのように協力したのか。その協働の道のりを辿った。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)
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東急電鉄では「再エネ100%運行」に加え
エコ車両への切り替えも進める
(c)東急電鉄株式会社
東急電鉄は今から3年前の2022年4月、全路線の運行と駅運営に使用する電力の100%再エネ化を実現した。日本で初めてとなるこの取り組みに、「すごい。先進的な事例だ」と反応した若者がいた。当時、慶應義塾大学総合政策学部で社会学・社会運動論を学んでいた阪田留菜(るな)さんだ。
阪田さんは、気候危機への解決策を考え、ゼロエミッション社会の実現を目指す、東京都環境局認定事業(2020年度)プロジェクト「DO!NUTS TOKYO(ドゥーナッツ・トウキョウ)」の第1期若者アンバサダーの一人としても活動していた。
■「企業の一方的な発信は伝わっていない」
阪田さんの周りには東急電鉄を利用する友人が多く、また「DO!NUTS TOKYO」には環境意識の高い仲間も集っていた。しかし、東急電鉄の再エネ100%運行について話しても、「ほとんど知っている人はいなかった。企業が良い取り組みをしているのに、消費者には伝わっていないと感じた」(阪田さん)という。
実際、東急電鉄側も同様の感触を得ていた。「東急線沿線のお客さまを対象として調査したアンケートから、再生可能エネルギー100%運行の認知が25%程度との結果が出ていることから、認知が低いという認識はあった」(東京電鉄・広報)という。
阪田さんは、「企業が一方的に発信していても、伝わっていない。消費者として何かできないか」と考え、東急電鉄の取り組みを消費者と共に広めるプロジェクトを構想した。東急電鉄の再エネの取り組みに関心を持つ人が増えれば、日本の気候変動対策を後押しすることにもつながるのではないか、との期待もあったという。
2023年3月、この構想をDO!NUTS TOKYOのアイデア・ピッチ大会で発表すると、クラウド・ファンディングに挑戦できる「For Good賞」を受賞した。

■大企業を動かす道のりは平坦ではない
■クラファンも目標金額には達せず
■若者のアイデアがようやく形に
■市民による行動につなげるために