百貨店のバレンタイン、チョコの人権問題を考慮しているか

記事のポイント


  1. NGOがカカオ生産に関して百貨店にアンケートを実施した
  2. 対象は、バレンタインフェアを実施する20の主要な百貨店だ
  3. 調査の結果、カカオに特化した方針は持っていないことが分かった

熱帯林行動ネットワーク(JATAN、東京・渋谷)は2月9日、百貨店のカカオ生産のデューディリジェンス状況を調査し、その結果を公表した。対象は、バレンタインフェアを実施する20の主要な百貨店だ。各百貨店は一般的な人権・環境方針は持っているものの、カカオに特化した方針は持っていないことが分かった。(オルタナ副編集長=吉田広子)

百貨店へのアンケート調査結果
百貨店へのアンケート調査結果

同調査に協力したのは、伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、岩田屋本店、小田急百貨店新宿店、京王百貨店新宿店の5つだ。日本橋高島屋S.C.や東急百貨店渋谷ヒカリエShinQs、ルミネ新宿、阪神百貨店阪急梅田本店など15の百貨店は回答しなかった。

チョコレートの原料となるカカオの生産は、児童労働や強制労働、森林破壊などの問題が指摘されている。調査結果によると、各百貨店は、こうしたカカオを巡る諸問題について把握し、一般的な人権・環境方針は持っているものの、カカオに特化した方針は持っていなかった。

JATANは、チョコレートの提供者への対応として、サプライヤーの調達先に対する是正措置を求めたり、救済措置を取ったりすることも限定的だと指摘した。

JATANのカカオ担当の榎本肇氏は「欧州連合(EU)では、森林破壊防止法(EUDR)によって、2025年以降カカオなど森林リスク産品をEU域内に輸入できなくなる。そのため、規制の緩い日本市場に入ってくることが懸念されている。日本企業も調達先に森林破壊がないかを確認し、公表することが求められる」とコメントした。

調査結果の詳細は、JATANの特設サイト「チョコレートの舞台裏」で確認できる。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #ビジネスと人権

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