「安倍内閣は右傾化する余裕などない」――麻生ナチス発言で田原総一朗氏緊急インタビュー

■次世代のため思うなら景気を良くすべし

――このまま自民党が右傾化に突っ走っていく心配はしなくて良いでしょうか。

田原:心配はあるが、われわれは断固阻止すべきだ。それに安倍内閣は右傾化する余裕などない。彼は、アベノミクスで景気を良くすることに100%集中する。だから、夏までは景気対策にエネルギーを集中する。9-10月に景気が良いと実感できなければ、アベノミクスは失敗に終わる。憲法の問題は、次の衆議院選挙(2016年)のテーマになるだろう。

――確かに、安倍総理は靖国神社には参拝しないと明言しました。経済に専念したいのでしょうが、その中でこの失言問題が起きました。

田原:安倍内閣にとってもう一つの大きな問題は、日中・日韓関係。首脳会議をどうするのかかが大きなテーマだ。年内に首脳会議ができなかったら大失敗だろう。

――尖閣諸島問題ついてはどうお考えですか。

田原:日中で交渉し続けていれば良い。結局、決着は付かない。10年、20年と、ただ交渉をし続ければいい。

――竹島については。

田原:日本はそこまで(尖閣諸島)やる気はないのではないか。日韓併合という長い歴史があるが、日本は抗議してもいいと思っている。

――今の日本人は、日中・日韓問題もあり、少し右に傾いている気がします。

田原:戦争を知っている世代は、理屈はともかく、戦争に近づくことは断固反対を貫く。しかし、この世代がいなくなりつつある。ぼくらの世代で残っている人たちが頑張らなくてはならない。

――新大久保の駅前で、抗議デモを繰り返している若者たちもいますが。

田原:あれは大きな声にはならないよ。

――でも、日本には、中国や韓国を嫌っている人が増えているように思います。

田原:日本は国際的なロビー活動が下手だ。一方、韓国や中国はうまい。韓国の朴槿惠大統領は米国に行って、オバマと会談した上に、議会で演説もした。帰ってきたら、中国に行き、ロシアにも行った。

韓国、中国、米国の3カ国の首脳は2日間で約8時間の会談をした。日本が孤立している気がする。この孤立感は蔓延している。この孤立感が、中国や韓国をやっつけろという感覚になってしまっては危ない。そうならないために、どうすれば日中や日韓で首脳会談ができるのかを安倍総理は全力で考えなくてはいけない。

一部の右翼は騒ぎを大きくしているが、そこまで心配することはない。中国と戦争してもメリットがなにもない。北朝鮮の問題もあるのだから、日韓で連帯しないといけない。このことについて、首脳会議で早く決めてほしい。

早く日韓や日中の会議をするべきだ。もし、年内に日中・日韓首脳会談ができなかったら退陣だろう。しかし、安倍総理もそこまで馬鹿ではない。年内に首脳会談を実現し、空気が変わるはずだ。でも、もしも万が一、戦争の流れに進んだら、ぼくは身体を張って阻止する。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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