日本経団連は6月15日、今年10月に名古屋で開催予定のCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)に向けた提言を発表した。生物多様性の保全と持続的な利用、遺伝資源に関する利益の公平な分配について、日本政府に議長国としてのリーダーシップを期待している。
「生物多様性の保全と持続可能な利用をめざして」と題するこの提言では、科学的知見が不十分な生物多様性の保全を巡り、試行錯誤を通じてフィードバックを重ねる「順応的管理」の導入を提唱。企業に対し、本業への関わりの如何に関係なく、保全の取り組みを推進するよう求めた。
また日本政府へは、保全を巡るデータや知見の充実と共有に向け、議論をリードするよう期待。一方、生物多様性の損失を金銭で補填するクレジット制度については「破壊を容認しかねない」と慎重な立場を示した。