記事のポイント
- 経済が急成長中のアジアでNPOや財団などのフィランソロピーセクターも急成長を遂げる
- 彼らに共通する視点は、「インパクト・フィランソロピー」的発想だ
- 彼らには、社会を変えたいという意欲と「枠」を超えた発想がある
「アジアのフィランソロピーには欧米のフィランソロピーとは違う価値世界がある」。これは、昨年12月にアジア・ベンチャー・フィランソロピー・ネットワーク(AVPN)主催で東京で開催された「ソーシャル・インベストメント・フォーラム」にアジア各国から集った財団トップたちが異口同音に語ったことだ。(日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)
今、経済が急成長するアジアで、NPOや財団などのフィランソロピーセクターも急成長を遂げている。彼らに共通する視点は、「インパクト・フィランソロピー」的発想である。
彼らはいずれも社会に一石を投じるような、新たな社会変革を実現しようという強い意思と意欲をもって資金支援の活動をしている。世界のフィランソロピーの歴史から見れば彼らはいずれも新興の財団である。
しかし、だからこそ自分たちが何か社会に変化を起こせるし、起こしたいという情熱を持っていると感じる。
かつ、彼らは枠を超えた発想、つまり寄付や助成といった無償の支援も、インパクト投資といった投資的支援も全体として扱いながら社会問題解決を包括的に進めていくことを考えている。
例えばシンガポールの中核的存在であるテマセック財団は、財団の傘下に投資ファンドを持ち、スタートアップ投資も展開する。
さらには自身の財団の資金を通じて団体を支援するだけではなくて、必要なら外国の財団がシンガポールで助成することをサポートしたりもする。そこにあるのは社会課題解決のためには、意識的に境界線を設けない発想である。
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