「21世紀半ばの夏に北極海の氷がなくなる?」――IPCC第1作業部会報告(上)

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は9月27日、第5次となる評価報告の第1作業部会報告書(*)を発表した。ストックホルムで作業部会に参加したWWFジャパン自然保護室の小西雅子次長に、IPCCの意義となぜ気候変動対策が必要なのかについて2回にわたり寄稿してもらった。

◆「なぜ世界はIPCCを信頼するのか」――IPCC第1作業部会報告(下)はこちら

■ 温暖化は人間活動による可能性が極めて高い

世界全体の二酸化炭素の累積排出量に応じた世界平均地上気温の上昇量 出典:IPCC第5次評価報告書(気象庁暫定訳)

うだるような猛暑に、洪水の頻発、最近の異常気象に温暖化の影を感じて、将来に不安を覚えるのは私だけではないと思います。そうした中、今年9月に、国連の地球温暖化に関する最高峰の科学の報告書IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から、第5次となる評価報告の第1作業部会(温暖化の科学)報告書が発表されました。

温室効果ガス濃度は上昇の一途をたどっており、大気と海洋が温暖化し、雪や氷河の量が減少し、海面水位が上がり、数十年から数千年にわたって前例がない変化が起きていると報告されたのです。

人間活動が温暖化の最も有力な要因であった可能性が、2007年の第4次表報告書時を上回って「極めて高い(95%以上)」と結論づけられました。これは、より詳細で長期間にわたる観測と、気候モデルのさらなる改良によるものです。

もはや温暖化が人間活動によって引き起こされているかどうかの論争の段階は終了し、今後は温暖化を緩和する対策と同時に、避けようのない温暖化の影響に適応する対策に現実的に向き合っていかねばなりません。

(*)IPCCには3つの作業部会がある。第1作業部会は「自然科学的根拠」、第2作業部会は「影響、適応、脆弱性」、第3作業部会は「緩和策」がそれぞれ評価される。第2作業部会は2014年3月に横浜市で開催される予定である。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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