帝国ホテル、女性の料理人も働きやすい環境づくりを

記事のポイント


  1. 帝国ホテルはこのほど、「食のサステナビリティフォーラム 2024」を開いた
  2. 杉本雄・帝国ホテル東京料理長が人材育成について語った
  3. 同社は性別にかかわらず働きやすい環境づくりを目指す

帝国ホテルはこのほど、「食のサステナビリティフォーラム 2024」を開いた。「『今の時代』の料理人を作る」をテーマに、杉本雄・帝国ホテル東京料理長が人材育成について語った。ホテル業界の人材不足が進むなか、同社は性別にかかわらず働きやすい環境づくりを目指す。(オルタナ副編集長=吉田広子)

杉本雄・帝国ホテル東京料理長
杉本雄・帝国ホテル東京料理長

帝国データバンクの調査によれば、「旅館・ホテル」業界の正社員人手不足率は68.6%に上り、「情報サービス」(77%)、「建設」(69.2%)に続く第3位だ(出典:「人手不足に対する企業の動向調査」2024年1月)。

2023年度の調理師養成施設入学者数は15%(19年度比)減少し、将来の料理人の人材不足も不安視される。

学生へのアンケートでは、料理人のイメージとして、1位は「やりがい」(27.8%)である一方で、2位に「忙しさ」(25.6%)、3位に「体力面のきつさ」(16.7%)が挙がり、労働環境への懸念が見えた。

杉本・帝国ホテル東京料理長は、「料理人は、頂いた素材に手を加えて付加価値を与え、料理として提供していく仕事。海外では、料理人は『エッセンシャルワーカー』として、社会基盤を支える存在だと認識されているが、日本で料理人の職業的な地位を上げるには、まだ時間がかかりそうだ」と語る。

■ 料理長自ら若手料理人約120人と対話

調理の現場では、男女差もある。帝国ホテル全体の男女比は1.4:1だが、調理部門は男女比4:1と、開きがある。

そこで、同社は、入社1年目から3年目の料理人約120人を対象に、食事を囲みながら、料理長と対話するラウンドテーブルを週に1回程度開催している。料理長・若手料理人それぞれの思いを共有したり、課題を見つけ出したりするのが目的だ。

杉本料理長は、「料理長はどこで何をしているか分からない、話しかけにくいと思われがちだ。直接話せる場を設けることで、私たち自身も変化し、だれでも働きやすい環境を整え、だれでも挑戦できる業界にしていきたい」と意気込む。

「世界ではトップシェフとして、活躍している女性は多い。性別に限らず、ライフステージや環境の変化などで、時間の制約が生まれることもある。これからの新しいスタンダードをつくっていければ」(杉本料理長)

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #ジェンダー/DE&I

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