記事のポイント
- 国の暫定指針値を超えたPFASの検出が日本各地で相次ぐ
- PFASは国内外で、環境への影響や健康被害が懸念されている
- 米国やニュージーランドはPFASの規制を強化した
国の暫定指針値を超えたPFAS(有機フッ素化合物)の検出が全国各地で相次いでいる。PFASは、自然界ではほとんど分解せず、生物の体内に蓄積することから、環境への影響や健康被害が懸念されている。米国やニュージーランドはPFASの規制を強化した。(オルタナ副編集長=吉田広子)
PFASとは、有機フッ素化合物の総称で、1万種類以上の物質があるとされている。
PFASは、水や油をはじき、熱に強いといった特徴から、調理器具の焦げ付き防止や衣料品の防水・撥水加工、食品包装や化粧品、消火剤や半導体など、多くの製品に幅広く使われている。自然界ではほとんど分解せず、生物の体内に蓄積することから、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。
しかし、環境汚染に加え、がん、肝臓や心臓への影響、子どもの発達や免疫系への影響など、さまざまな健康影響が懸念されている。PFASのうち、「PFOS」「PFOA」「PFHxS」の3種類については、有害性を持つ物質として、ストックホルム条約(POPs 条約、2004年発効)で規制されている。日本でも化審法などに基づき、製造や輸入が禁止されている。
環境省は、3種の物質について、河川や地下水などの濃度を調べる実態調査を行っている。国は暫定指針値として、1リットル当たり50 ナノグラム(PFOS・PFOA の合算)を定めるが、各地で大幅に指針値を超えるPFASが検出されている。
沖縄県沖縄市を流れる比謝川では1508ナノグラム、地下水としては、大阪市で5500ナノグラム、神奈川県綾瀬市で1300ナノグラム、東京都立川市で640ナノグラム、神戸市明石川上流域で460ナノグラムと、全国各地で検出が相次ぐ。
環境省は今夏、PFASの具体的な除去技術をまとめた指針を策定する予定だが、検出地域での不安は広がっている。
参考記事:「PFAS汚染源はどこ」市民団体が相模原市に情報開示求める
(この続きは)
■米国は有害物質に指定、汚染の責任を明確に
■NZ、化粧品のPFAS使用を禁止
■「人権とビジネス作業部会」もPFASへの懸念示す