政府が人権DD指針策定、強制労働の防止求める

記事のポイント
①日本政府は9月13日、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定した
②一方、「現代奴隷」に従事している人の数は5000万人に上り、そのうち2800万人が強制労働を課せられているという報告書が公表された
③人権DDの義務化を進める欧州に比べ、日本政府の動きは遅い

日本政府は9月13日、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定した。国際労働機関(ILO)などが発表した最新の報告書では、「現代奴隷」に従事している人の数は5000万人に上り、そのうち2800万人が強制労働を課せられているという。人権DD(デューデリジェンス)の義務化を進める欧州などにならい、日本政府も動き出した形が、人権DDの義務化にはほど遠い。(オルタナ副編集長=吉田広子)

ケニアの沿岸で漁業に従事する少年(2011年3月撮影)©Crozet M./ ILO

ILO、国際人権団体ウォーク・フリー、国際移住機関(IOM)は9月12日、「現代奴隷制の世界推計(Global Estimates of Modern Slavery: Forced Labour and Forced Marriage )」を公表した。

2021年時点で、世界で5000万人が「現代奴隷」として生活し、そのうち2800万人が強制労働を課せられ、2200万人が強制結婚の状態にあることが分かった。

前回2017年9月に発表した世界推計(2016年時点)と比べ、2021年時点で現代奴隷の状態にある人は1000万人以上増加し、女性と子どもは依然としてぜい弱な状況に置かれていることが明らかになった。

児童労働や強制労働、先住民の権利侵害など、企業の事業活動に伴う人権侵害が後を絶たないことから、国連は2011年6月、「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択し、各国に国別行動計画を策定することを求めた。

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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #ビジネスと人権

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