[CSR] サントリー、「水と生きる」を森林整備で実践

その後1962年にビール事業を立ち上げましたが、この時も徹底的に水にこだわり、良質な地下水が豊富に得られる場所ということで、東京都府中市の武蔵野工場に決めました。その後も、工場は増設していますが、全て、良質な地下水がたくさん得られる所を選んで工場を作ってきました。

内貴研二・エコ戦略部長(サントリー)

――大規模な森林整備に乗り出したのは、なぜでしょうか。

内貴 2000年頃に、日本の森林の約4割に当たる人工林の荒廃が、目に見えて進みました。そうなると、今は工場で十分に良質な地下水を使えていますが、30年、50年後にも本当に使えるのかという不安がありました。

それならば、今から未来の水のためのことを考えて、率先して日本の森林を守ることが、良質の地下水を確保するためにも、会社の使命ではないかと。それで、大規模な森林整備を展開することにしたのです。

最初にスタートしたのが、2003年の「天然水の森」(熊本県阿蘇地方)でした。なぜかと言えば、同じ2003年に熊本工場という第4のビール工場ができたのです。新しい工場なので、水源涵養活動とセットで始めようということで、工場設立と同時に熊本・阿蘇の「天然水の森」をスタートしました。

その時に計算したのが、全国の工場で使っている地下水の量を涵養できる面積は約7000haだと分かり、目標にしました。現在ではその目標を上回り、整備した水源涵養地の面積は7600haと、山手線内の面積(6300ha)を超えた規模にまで拡大しています。

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高馬 卓史

1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。総合情報誌『選択』編集長を経て、独立。現在は、CSR、ソーシャルビジネス、コミュニティ・デザインなどをフォロー中。執筆記事一覧

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