■現場検証ではなく「現場見学」
しかし、メルトダウンを起こした福島第一原発の原子炉は放射線量が高く容易に近づけない。福井地裁判決がまさに問題視しているのは、「事故現場に立ち入ることができないために事故原因を確定できない可能性が高い」という点だ。
国立国会図書館が2012年4月に発表したレポートでも、「被災設備の詳しい現地調査は現状においては不可能であるため、地震動の影響を含めた事故の直接的原因の究明が重要な課題として残されていることは、全ての事故調報告に共通の認識」と指摘している。

学会事務局は取材に対し「学会事故調として現場見学は行った」と回答した。現場の「検証」ではなく「見学」で、果たして本当に事故の真相に迫ったと言えるのか。
学会の事故調査委員会で委員長を務めたのは東京大学教授の田中知氏。田中氏は日本原子力学会の元会長だ。政府は27日、原子力規制委員会の後任人事案の1人に田中氏を提示した。
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