河口 真理子(株式会社大和総研調査本部主席研究員)
2013年5月15日から17日、米国カリフォルニアのモントレーベイ水族館にて、持続可能な食に関するイベントに参加し、日本企業のCSRと海洋資源保護について話をする機会を得た。
このイベントには全米のマスコミ関係者や料理関係者、研究者、NGO など持続可能な海産物に関心の高い人たちが参加していたのだが、参加してみて彼らの海洋資源枯渇に対する危機感と、通常の日本人の感覚にきわめて大きなギャップがあることに愕然とした。
日本では、魚離れが叫ばれているが、一人当たりの消費量は世界3位と魚大国であることには変わりがない。しかし環境保護問題の中でも、縁の深い海洋資源枯渇に関する情報は格段と少ない。
例えば、昨年高騰したウナギ。日本人は世界のウナギ消費量の6-7割を消費するといわれている。食用のウナギには、ニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、オーストラリアウナギがあるが、いずれも大幅に減少している。
ニホンウナギの場合、親ウナギ漁獲量は1961年の3400トンから最近では200 トン程度に減少。同様にアメリカウナギもヨーロッパウナギも過去数十年で急減している。国際海洋探査委員会(インターナショナル・カウンシル・フォー・ザ・エクスプロレイション・オブ・ザ・シー)の調査で、ヨーロッパ12カ国の19 の河川で漁獲されたウナギの稚魚は、1980-2005年までに、平均で95-99%減少したという。その要因としては、化学物質や河川のダム化に加え人による乱獲がいわれている。その乱獲の最大の理由は日本人である可能性が高いのだ。
ウナギだけでなくクロマグロも
戦後から高度成長時代まで、ウナギは、ウナギ屋で食べるハレの料理であった。しかし90年代以降、安価なウナギがスーパーや外食チェーンに出回るようになる。それはアメリカやヨーロッパのウナギの稚魚を中国に輸出し中国で養殖したウナギを輸入するようになったからだ。