ハリス対トランプ:対極の気候関連政策と激戦州での争点は

記事のポイント


  1. 米民主党の党大会が開催され、米大統領選での両党の公約が出揃った
  2. ハリス氏とトランプ氏の2人は、気候変動に関して対極の公約を展開する
  3. 両党の気候関連マニフェストや、激戦州での争点を概観する

米民主党の党大会が8月19日から開催され、米大統領選での民主党と共和党の両党の公約が出揃った。民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と共和党候補のドナルド・トランプ前大統領は、気候変動に関して対極の公約を展開する。どちらが勝利するかは我々の生活にも大きな影響がある。両党の気候関連でのマニフェストや激戦州での争点を概観する。(オルタナ論説委員・東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナブル社会デザインセンター特任研究員・御代田有希)

トランプ氏(共和党)とハリス氏(民主党)は対極の気候政策を掲げる

■「確トラ」が一転、これまでの経緯を振り返る

6月27日のテレビ討論会でのバイデン大統領の失態を受け、選挙キャンペーン継続に疑問が呈され、民主党員にも動揺が広がっていた。

その後、7月13日にペンシルベニア州バトラーで開催された選挙集会にて、トランプ候補が銃撃される事件が起きた。耳を打たれた直後に立ち上がり、拳を高くつき上げた様子を撮影した写真は、フランス革命の一幕を描いたドラクロワの絵画のように人々の目に焼き付いてしまったともいえる。暗殺未遂後のトランプ氏は共和党内でまるでキリストの復活のように神格化されているとの声もある。

その直後の15日、J.D.ヴァンス氏が副大統領として指名された。ヴァンス氏は自伝『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』で表現されているように、幼少期の環境や愛国心に関してトランプ支持者の典型的な人物であると言われる。

そのため、トランプ支持者たちの心を掴むための人選であるとされる。共和党の戦略としては、トランプ氏自身が激戦州での無党派穏健・中道派の呼び込みを担当する一方で、ヴァンス氏には中核的なトランプ支持者を満足させるような発言や姿勢を見せていくものと言われており、実際そうした役割分担を感じさせる両氏の演説も一部あった。

一方の民主党は、8月2日にハリス副大統領が必要な票数を確保し、党代表となった。ハリス氏はこれまで、移民という舵取りの難しい問題に関して成果を求められ、また同氏のチームの人員の入れ替わりが激しいことを理由にリーダーとしての資質が問われてきた。

しかし、ここにきて、民主党は少なくとも表向きは一丸となってハリス氏を大統領にしようとし、躍進していると見ることができる。

8月19日から開催された民主党の党大会では、女性初として「ガラスの天井を破る」、また非白人の候補として新しい大統領像を打ち出そうとしている。

■ハリス氏が、気候への意識はバイデン以上と言われる理由
■激戦州における気候変動関連での争点
■両党の政策綱領(マニフェスト)を概観する
■共和党の公約「アジェンダ47」はどう変わったか
■民主党の公約が変わらない理由
■今後の選挙の見どころ

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御代田 有希(オルタナ論説委員/東京大学大学院 新領域創成科学研究科サステイナブル社会デザインセンター特任研究員)

御代田 有希(オルタナ論説委員/東京大学大学院 新領域創成科学研究科サステイナブル社会デザインセンター特任研究員)

オルタナ論説委員。博士(法学)。東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナブル社会デザインセンター特任研究員。研究関心は、グローバル・ガバナンス、持続可能な開発目標(SDGs)、ESG投資。慶應義塾大学法学部卒業後に株式会社三菱東京UFJ銀行(現MUFG銀行)にて勤務し、退職後一橋大学国際・公共政策大学院へ進学。その後同大学院法学研究科の博士課程在籍中に、米国農務省およびESG投資を始動させた国際団体である責任投資原則(PRI)にて勤務した。博士号取得後は、一橋大学大学院法学研究科特任講師(ジュニアフェロー)を経て現職。リカレント教育を中心とした同大学院新領域創成科学研究科サステイナブル・ファイナンス・スクールの運営に携わり、学問分野横断的な知見と実務の融合を目指す。

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キーワード: #サステナビリティ

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