新興国でもCSRに対する関心が高まる

CSR研究の顕彰式も行われ、アーチー・キャロル教授(米ジョージア大学)に対し、特別功労賞が贈られました。70年代から米国のCSR 議論の草分け的存在として長年研究を行ってきた功績が称えられたものです。受賞スピーチの中でキャロル教授は、今後CSR が広がって行くには3つの課題――1)実務界での理解の浸透 2)新興国における理解の広がり3)学問としての正統性の確立――があると指摘しました。

また、10月3日には、博士課程の院生を中心としたドクトラル・セッションが開催されました。そこでは世界中から集まった20人が、下記のようなテーマで報告を行いました。
・中小企業のCSR が社内ステークホルダーの解釈に与えるミクロ/メソ/マクロレベルの影響
・サステナビリティ会計とCSR 活動の関係性
・CSR の違反行為がマーケティングに与える影響
・企業はCSR 活動にどのように投資したら良いのか など。

こうした若い研究者および参加者間の双方向の議論を通じ、次世代の研究者を育てていくことや、新興国・途上国におけるCSRへの関心の高まりが感じられたといいます。

本カンファレンスはドイツ国外でも開催されるようになっており、2009年には北京大学で小規模なジョイント・カンファレンスが開催されています。

2013年9月18~20日には、学会「企業と社会フォーラム」とフンボルト大学とベルリン独日センター(予定)が共催し、「CSRとコーポレート・ガバナンス」を統一テーマに、東京でジョイント・カンファレンスを開催します。

これまでCSRとコーポレート・ガバナンスは別々に切り離されて議論されてきました。しかしCSR をマネジメント・プロセスに組み込んでいくことが大切であるという理解が広がり、両者をともに考えていく重要性が高まっています。

「企業経営において、CSR はどのように理解され、取り組まれているか」「多様なステークホルダーの意見に応えながら、いかに経営全体として統治しているか」など、CSRマネジメントとコーポレート・ガバナンスにかかわる様々な課題について議論します。関心のある方はhttp://p.tl/ZOyPをご参照下さい。

【さいとう・のりこ】原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学専任講師。jfbs

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第3号(2012年12月5日発行)から転載しました)

齊藤 紀子氏の連載は毎月発行のCSR担当者向けのニュースレター「CSRmonthly」でお読みいただけます。詳しくはこちら

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