「CSR」疲れから担当者を救うには【アジアCSR最前線】

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エリン・ライオン(CSR Asia エグゼクティブ・ディレクター)

CSR Asiaはこれまで世界中で数百社のCSR担当者や各分野でCSRに携わる方々と一緒に仕事をする機会を得てきた。その多くは非常にインスピレーションに満ちた人々で、今、私たちが直面している深刻な問題に対し、革新的なソリューションを生み出してきた。

しかし、CSR 担当者は社内外で様々な対立や争いを経験していることも忘れてはならない。最近、多くのCSR担当者が、業務上一番苦労することは「内なる闘い」だと話すのをよく耳にする。外部のステークホルダーに対し、きめ細かな対応をし、議論をする必要があることは容易に理解できる。

しかしCSR担当者にとってさらに厄介なのは、よく言われる表現を使えば、「どうしても分かってくれない」社内のステークホルダーだ。社内で絶えない口論を続けてきた結果、多くの担当者が、いわば「CSR疲れ」という症状を患っている。

会社の経営陣が、経験や能力のあるCSR担当者に対して、会社の評判を落とさないように管理しておけば良いといった最低限の役割しか与えていないケースが多いのだ。そのため、真の目的がなかなか理解されないことから慢性的な疲労状態に陥ってしまう。

CSR 担当者の役割とは、いまだに、会社の事業が非合法に至らない程度に管理すると考えられていることが多い。最悪なケースでは、年次報告に子供の笑顔の写真を載せれば良いのだと思われていることすらある。

ネットワーキングと健全な競争の創出

CSR業界では、歴史的にみてCSRに関する規制が厳しければ、自然と活動も増え、業績も改善されると考えられていた。そして、いつかは会社の経営陣も「分かってくれる」か、少なくとも周りからのプレッシャーで理解せざるを得なくなるだろうという期待もあった。

しかし、現実には活動自体は増加したものの(期待されたレベルではないが)、業績に関してはいまだ確かな進展や改善は見られない。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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