記事のポイント
- 米カリフォルニア州は、2026年からすべてのプラ製レジ袋を禁止する
- 「使い捨てレジ袋」はすでに禁止したがプラ廃棄重量が増えたからだ
- 同州の先駆的な取り組みは、失敗事例も含め他州の学びとなっている
米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、2024年9月22日、2026年からすべてのプラスチック製レジ袋を禁止する法案に署名した。同州は2014年、全米に先駆けて「使い捨てレジ袋」の禁止に踏み切ったが、プラ廃棄物の重量は増え、「使い捨て」のみの禁止では不十分と判断した。同州の先駆的な取り組みは、失敗事例も含め、他州の学びとなっている。(オルタナ副編集長=北村佳代子)
全米で最も人口の多いカリフォルニア州は、米国における環境の取り組みの常に先頭集団を走ってきた。
ニューサム州知事は、サンフランシスコ市長だった2007年に、全米で初めて、同市においてグローサリーストア(食料品店)でのレジ袋使用を禁止する法律に署名した。その後、ロサンゼルス、サンノゼ、バークレーなど、カリフォルニア州内の多くの都市がこの動きに続いた。
同州の環境保護団体、カリフォルニアンズ・アゲンスト・ウェイストのエグゼクティブディレクター、マーク・マレー氏は、「法律によって、プラごみの効果的な削減につながった」という。
2014年、カリフォルニア州全域で「使い捨てレジ袋」の使用を禁止する法律が導入されると、米国におけるプラ廃棄物削減の先例になると期待を集めた。
■法律の抜け穴が、プラ廃棄重量を増やす
しかし、この法律には抜け穴があった。
2016年頃からは、技術的に再利用・リサイクル可能な、より厚手のレジ袋を提供する小売店が増えた。買い物客は1枚10セント(約15円)でレジ袋を手に入れられる。しかしその後は、多くが再利用・リサイクルされることなく廃棄された。
新型コロナウィルスによるパンデミックも、ウイルスがついているのではないかと、「再利用」への抵抗感を強めた。
2014年の「使い捨てレジ袋」の使用を禁止する法律によって、カリフォルニア州の店舗で提供されるレジ袋の総数は、劇的に減少した。しかし、レジで提供可能としたプラ袋の厚みが増したため、プラ廃棄物の重量は結果として増えた。
カリフォルニア州リサイクル機関のカルリサイクルのデータによると、2021年のプラ廃棄物の重量は、禁止法案が可決された2014年から約50%増えたという。
焼却による廃棄物処理が一般的な日本とは異なり、米国では埋め立て処理が主流だ。
レジ袋はその後、埋立地で何百年も分解されずに残り、最終的にはマイクロプラスチックとして飲料水や食品汚染につながる懸念もある。
「地域社会、子どもたち、地球のために、よりクリーンな未来を手に入れなければならない。今こそ、プラ袋を廃止し、より汚染のない環境へ前進する時だ」と、今回の法案の共同提出者、民主党レベッカ・バウアー=カハン下院議員は声明で述べた。
■「紙袋一択」には反発も
■事実上、リサイクルされていない
■カリフォルニアから学びを得た他州の動きは