米科学アカデミー誌「ペットボトル水から大量の微小プラ片」

記事のポイント


  1. ペットボトル飲料水からのプラ片大量検出報告が米科学アカデミー誌に掲載
  2. 9割がマイクロプラスチックより小さい「ナノ」サイズ
  3. 飲み込んだ極小プラは臓器に蓄積する可能性がある

米科学アカデミー紀要(PNAS)によると、ペットボトル入り飲料水から、これまで考えられていたよりはるかに多いプラスチック粒子が検出された。分析技術の進歩により微細なプラスチックも見つかるようになってきたためだ。私たちが水と一緒に飲み込んだプラスチックはどうなるのだろうか。一部は小腸から取り込まれ、内臓などに蓄積する可能性も指摘されている。(オルタナ編集委員・栗岡理子)

市販のペットボトル入りの水1リットルにつき平均24万個ものプラスチック粒子が発見された

プラ片の9割が「ナノプラスチック」

1月8日に米科学アカデミー紀要で公開された研究結果によると、市販のペットボトル入りの水1リットルにつき平均24万個ものプラスチック粒子が含まれていたことが分かった。

その9割がナノプラスチックと呼ばれる1マイクロメートル(0.001ミリメートル)未満のプラスチック片で、残りはそれより大きい1マイクロメートルから5ミリメートルまでのマイクロプラスチックだった。

千葉工業大学創造工学部の亀田豊教授によると、ナノプラスチックに関する精度の高いデータはまだ一つもなく、「現在世界中で分析方法を模索している段階」だという。

そのため、この論文だけでペットボトル飲料水に含まれるプラスチックを議論するのは不正確だとしつつも、「多くの研究者は理論的な観点から、ナノプラスチックはマイクロプラスチックよりも桁数が変わるレベルで濃度が高い」と考えているそうだ。亀田教授は微細プラスチックの高度な分析技術をもつ日本で数少ない研究者の一人だ。

微小プラ片取り込みによる健康への影響は

近年、心臓や肺、血液、母乳などからのマイクロプラスチック検出報告が相次いでいる。マイクロプラスチックよりも桁違いに多いナノプラスチックが体内に入った場合、健康への影響はあるのだろうか。

東京大学大学院工学系研究科の酒井康行教授によると、このような小さいプラスチックは小腸から血管やリンパ管に取り込まれ、臓器に徐々に蓄積する可能性がある。しかし、そのことによる影響は、取り込み量や期間によっても異なり、まだ不明だという。

影響としては慢性炎症反応による臓器機能の低下などが考えられるそうだ。酒井教授は、人の小腸培養組織を用いた実験で、人体への影響を調べている(オルタナ「微小プラが小腸から体内に侵入か、人体への影響は」)。https://www.alterna.co.jp/47976/

一方、亀田教授は、疾患と体内のプラスチック濃度との間に相関があったという報告はあるものの「現時点では、我々が知っているような疾患のうち、マイクロプラスチックやナノプラスチックが主な原因であると証明された疾患はない」と話す。経済産業省がナノカーボン粒子について、人へのリスク評価をしているとのことだ。

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ろ過フィルターから剥がれ落ちたプラ片も

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環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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キーワード: #脱プラスチック

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