記事のポイント
- 米カリフォルニア州は、企業に2026年から気候関連情報の開示を義務化する
- 企業の負担増への懸念から開示スケジュールを再検討していた
- だが予定通り、スコープ1,2は2026年、スコープ3は2027年からとした
米カリフォルニア州のニューサム知事は9月27日、気候変動関連の情報開示を企業に義務づける法案に署名した。2023年10月に法案成立後、企業の負担増への懸念から開示の開始時期を再検討していたが、当初の予定どおり、スコープ1と2は2026年、スコープ3は2027年からの開始とした。カリフォルニア州は、米国で初めて気候変動関連の情報開示を義務化したことで注目される。(オルタナ副編集長=北村佳代子、オルタナ編集部=松田 大輔)
気候関連情報の開示に関しては、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が2023年6月にサステナビリティ開示基準を公表して以来、日本を含む各国で制度化に向けた準備が進む。
特に米国においては、民主党政権のもと、制度化に向ける動きがめまぐるしく変化してきた。
米SEC(証券取引委員会)は気候開示規則の最終版を2024年3月に公表した。しかし、当初の草案に盛り込んでいたスコープ3の開示要求が、負担増を嫌う企業の抵抗もあり、削除された。スコープ3は、バリューチェーン上の排出量を指す。
これに対し、米国で初めてスコープ3開示の義務化に踏み込んだのがカリフォルニア州だ。その気候関連開示の州法が今回、一部更新された。
本州法の適用対象となるのは、米カリフォルニア州で事業を行う、年間売上高10億ドル(約147億円)以上の大企業だ。
米調査会社のモーニングスターは、同州で事業を行う5300社超の企業が影響を受けると試算する。同州で事業を営む日本企業も例外ではない。
適用対象企業は、2026年から、スコープ1とスコープ2の温室効果ガス(GHG)排出量を開示しなければならない。スコープ1は自社の事業活動によるGHG排出、スコープ2は電力などのエネルギー利用に伴うGHG排出のことを指す。
また、スコープ3については、2027年からの開示を義務付けた。
■カリフォルニア州法が適用される企業は、スコープ3必須に
■州内事業所がなくても、日本企業が対応を迫られる可能性も
■開示開始「28年案」も出たが、予定通り26年に
■GHG削減目標だけの情報開示は通用しない