5.怠惰なCSRマネジャー:CSRマネジャーのなかには自分の役割に安住し、最新のCSR展開やトレンドには無頓着な人もいる。CSRを戦略化することもせず、上司も気付かない場合が多いため、凡庸なCSRの実践に簡単に安住している。CSRは経営陣から無視されるような箱入りにされずに、効率よく管理される必要がある。

6.傲慢な組織:事実と反するが自社をCSRのリーダーだと信じている企業もある。真のベストプラクティスがどういうものかを突き止めようとせず、実はどこにでもあるようなことなのに自社が最先端のCSRの取り組みを実践していると思い込んでいる。常に競合や同業者と比較し、ステークホルダーと定期的に対話していくことが社内の規律強化にとって重要だ。

7.深刻なCSRへの関与不足:毎年サステナビリティ・レポートを発行していても、CSRを企業の重要なブランディングとは位置付けず、ただリップサービスとしてCSRをみているのみで戦略的チャンスを逃している。優れたCSRには上層部と社内の「CSRチャンピオン」の関わりが必要だ。

8.CEOの交代(悪化):新任のCEOが前任者ほどの関心を示さなければ、組織はたちまちCSRの価値を下げる。新任のCEOがCSRを重要視すると述べても、実際には経営上の収支が最優先事項であることが多い。トップの熱意やリーダーシップがなくなれば、CSRは途中で前進しなくなり、戦略化もできない。

9.CSRのキャパシティ喪失:多くの組織では、CSRの役割が一人の担当者に依存しがちだ。その人が他の部署に移ると、計画を継ぐ人もキャパシティもなくなり、有能な後任が現れなければCSRは失敗する。CSRが組織全体には定着していないからだ。

10.単純に戦略が今も今後も存在しない:CSRが単なる「付け足し」で適切なCSR戦略開発を行う意思がないことには驚く。CSRをビジネスとして取り上げる時間と努力を費やす人がいないために、単純に戦略が今も今後も存在しないのだ。組織内にCSRを理解してない人が多いため、CSRがもたらす戦略的チャンスを誰かが理解して、組織の停滞を打ち破る必要がある。

高橋佳子(CSR Asia シニア・プロジェクトマネージャー) 監訳

【リチャード・ウェルフォード】CSR Asia 創設者で経済学博士。20 年にわたりCSR や環境管理を研究。香港大学教授を定年退職後、2010 年にアジア工科大学(AIT)と共同事業であるアジア初のCSR 修士課程を創設。国際ビジネス、環境管理、労働人権、企業の社会責任についての著書多数。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第7号(2013年4月5日発行)」から転載しました)

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