
イオン環境財団は10月21日、生物多様性と持続可能な社会のため、世界的に貢献した個人を表彰する「The MIDORI Prize for Biodiversity」の表彰式を国連大学(東京・渋谷)で開催した。今年は、リャマやアルパカと近縁とされるアンデス地方の草食動物「ビクーニャ」の保全に努めたアルゼンチンのビビアナ・ヴィラ博士をはじめ、インドのカマル・バワ博士、ガーナのアルフレッド・オテング=イエボア博士の3人が表彰された。(オルタナ編集部=佐藤理来)
アショーカ生態学環境研究トラスト(ATREE)の代表でもあるバウ博士は、経済と生物多様性保全の両面で貢献した。生物多様性科学における保全研究も評価が高く、新種の遺伝子マーカーの開発で、森林崩壊が生物多様性を脅かす原因になっていることを証明している。学際的アプローチによって政策提言にも携わり、人材育成にも積極的だ。
イエボア博士は、政治の面からのアプローチが評価されている。国際的会議の運営や発言で貢献し、生物多様性の課題を世界的な政治の議題とするメカニズムを確立した。政策に科学的な視点を盛り込むことを促進するなど、生物多様性の国際交渉に影響を与える。
ヴィラ博士はアンデス地方に生息するラクダ科の生き物「ビクーニャ」を保全、持続可能な利用を進めたことで評価された。古代の捕獲技術「チャク」を復活させ、捕獲、毛の刈込、リリースといった取り組みを、先住民族のコミュニティと開発。ビクーニャ毛による収入というインセンティブを与えたことで成功した。
「The MIDORI Prize for Biodiversity」は、生物多様性の重要性を知らせるため、イオン環境財団が、「生物多様性日本アワード」と隔年開催している。今年で3回目を迎え、過去にはドイツのメルケル首相も特別賞で表彰されている。