記事のポイント
- 英国政府は11月14日、炭鉱の新規開発を禁止する方針を発表した
- 英国は今年、G7で初めて石炭火力発電からの脱却を実現したばかりだ
- COP29でも野心的な目標を公表しており、積極的に気候変動への取り組みを進める
英国政府は11月14日、炭鉱の新規開発を禁止する方針を発表した。今後、新規での炭鉱開発を規制する法案の早期成立を目指す。英国は今年9月に、同国最後の石炭火力発電所を閉鎖し、主要7カ国(G7)で初めて石炭火力への依存が「ゼロ」となった。英国は現在アゼルバイジャンで開催中の国連・気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)でも野心的な目標を公表しており、積極的に気候変動への取り組みを進める。(オルタナ副編集長=北村佳代子)
英国は今年9月、最後の石炭火力発電所を閉鎖し、2012年には同国の電力供給の4割を占めていた石炭比率がゼロとなった。
英スターマー政権は今年7月の発足後、一部の陸上風力発電の禁止措置を撤回したほか、過去最大規模の洋上風力発電投資や、2ギガワット規模の太陽光発電プロジェクトを承認し、クリーンエネルギーへの移行を加速させてきた。
今回、新規炭鉱の採掘禁止の発表に伴い、英政府は、これまで同国の発展を支えてきた石炭火力業界の従事者に敬意を表す声明を出した。
「石炭採掘は140年以上にわたって英国に電力を供給してきた。私たちは、全国の家庭や企業に明かりを灯し続けた労働者に大きな恩義がある。今、英国は、世界最大の排出源である石炭火力発電の廃止を、世界に先駆けて進めていく絶好のポジションにある」
■化石燃料産業に従事してきた労働者の雇用支援策も
英政府は、化石燃料産業に従事してきた労働者の雇用支援策も明示する。
クリーンエネルギー計画の下で新たに生まれる雇用機会へのアクセスを提供する「クリーンエネルギー雇用局」を新設するほか、約12万人の元炭鉱労働者に対しては、これまで政府が年金基金から引き出していた資金を返還すると発表した。これにより元炭鉱労働者の受給額は約32%増えるという。
「何十年にもわたって英国を支えてきた人々が、ようやくその労働の正当な報酬を手にすることになる」と政府は公式サイトでコメントした。