flickr/Pedro VásquezColmenares

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アメリカにおける「ダム撤去」の歴史を追った映画『ダムネーション』を配給するにあたって、ダムについて調べていますが、中国の長江にある世界最大級のダム、三峡ダムについて衝撃的な現実を知ることになりました。

三峡ダムの建設が始まったのは1993年。完成は2009年ですから16年もの時間を要した大工事だったのですね。長さ570km、最大発電量は2250万kW(原子力発電所15基分)と何ともスケールの大きいこと。

そんな三峡ダムですが、想像を絶するレベルの犠牲を伴って完成していました。移住を余儀なくされた人なんと140万人!そして、ダムによって長江流域の環境が変化。工場排水が流れこむなどして水質汚染も深刻で、水産物の水揚げ高は減少。生息している魚種も大幅に減少。

長江の生態系はすでに崩壊している(日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130917/253554/

生態系を壊すだけでなく、ダムが地震を誘発していることも明らかになっています。

三峡ダム周辺で地震頻度が30倍に、政府も弊害認める(AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/2809711

「ダム誘発地震」などという事態が起こりうることを知って唖然としましたが、比較にならない被害が予想されるのが、もし、三峡ダムが決壊した場合です。

決壊すれば、大量の水が津波となって猛スピードで下流域を襲い、大被害をもたらすことが予想されます。さすがに日本まで津波が押し寄せることはないでしょうが。万が一の被害を考えると三峡ダムの建設は、誤りだったのではないでしょうか。

アメリカでは無用なダムを撤去していくことが活発化し、ダム建設の是非の議論が進んでいます。日本ではどうかというと、ダム立地地域での反対運動はあるものの、これまでに建設されたおよそ3千のダムのうち、撤去が始まったのはわずか1つ。熊本県の荒瀬ダムのみ。新規ダム建設の流れは変わらず、日本最大規模の八ッ場ダムの建設が始まろうとしています。

すべてのダムが問題ではないでしょうが、細かく見ていけば、不必要なダムはきっと数多くあるのでしょう。ユナイテッドピープル配給で、来週11月22日(土)から劇場公開する映画『ダムネーション』がきっかけで、ダムの存在意義についての議論が日本中で始まることを願っています。