道を選ばず楽しく乗れるシンプルなマウンテンバイク

■間違いだらけの自転車選び(37)山本修二(自転車ジャーナリスト)

記事のポイント


  1. シンプルな自転車は長く乗り続けられる
  2. 価格と搭載パーツのバランスに注目
  3. キャンプツーリングまで楽しめる拡張性

シンプルななかにも力強さを秘めたデザインも魅力的

今回の自転車: ブリーザー/トレイヴァー

前後輪に機械的なサスペンションを持たないリジッド・マウンテンバイク。フレームとフォークは、しなやかなクロモリスチール製。このフレームに27.5×2.8インチというワイドなタイヤを組み合わせている。変速機は、シマノのキューズを搭載。必要十分なギア比をカバーしたリアのみの10段変速となる。パーツ構成の工夫により楽しい走行性能と、魅力的な価格を実現したオールラウンドバイク。カラーはマットグレー。サイズは、37、42、47cmの3種。価格15万4000円(税込)

アキボウ https://www.breezerbikes.jp/

フレームは、高い耐久性と乗り心地の良さを両立する4130クロモリスチール製

■マウンテンバイク文化を生み出したパイオニアブランド

ブリーザーというブランド名は、創設者のジョー・ブリーズに由来する。ロードレーサーのフレームビルダーだったジョーは、山道でダウンヒルレースをするための自転車フレームを1977年に世界で初めて自らの手で作り上げた。

その後、ジョーがクリエイトしたフレームデザインが、マウンテンバイクの基礎となり、世界へと広まっていった。そのスピリットは、ブリーザーというブランドに継承され、今も、グラベルバイクやマウンテンバイクなど、オフロードを楽しく走るための自転車をリリースしている。

■サスペンションがないから壊れにくい

トレイヴァーの魅力は、シンプルさにつきる。このバイクは、一般的なマウンテンバイクに組み込まれている機械的なサスペンションをあえて搭載していない。これによるメリットは、ダイレクトなコントロール性能と、故障のリスクの少なさだ。自分の意図にそぐわず、サスペンションが勝手に動くこともなければ、面倒な調整作業も不要だ。

さらにサスペンションに不可欠なメンテナンスや修理の必要もない。多くのパーツメーカーは、発売から5年も経過すると補修パーツの生産を終了する。たとえオーナーが長く乗り続けたくても、補修パーツの入手が困難となり、性能を維持することが難しくなる。

その点、最初からサスペンションがなければ、そんなリスクは皆無。1台のマウンテンバイクを長い間、大切に使い続けることができるのだ。さらに高価なパーツを減らすことで、高騰するマウンテンバイク市場のなかでも、比較的買いやすい価格に抑えられたコスパの高さも魅力だ。

フロントフォークは適度な弾力性がある。3連のネジ穴があるので、小型ラックなどの取り付けもできる

しかし、前後輪にサスペンションが搭載された一般的なマウンテンバイクのように、荒れた路面の振動をしっかりと吸収することはない。滑りやすい路面をスイスイ登るには、それなりのテクニックも必要だ。リジッド・マウンテンバイクを乗りこなすには、サスペンション付きのマウンテンバイク以上に、テクニックと体力が必要となる。

もし、楽に乗りたいとか、レースで他人より先にゴールしたいのなら、最新のフルサスペンションモデルを選ぶ方がいい。しかし、風景の変化を楽しみながら、マイペースで山道や街中を走るような用途なら、よりダイレクトなコントロール性能を味わえるリジッドバイクを選ぶ手もある。

未舗装路ではワイドなタイヤによる安定感を存分に楽しめる

■太いタイヤは乗り心地がいい

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

yamamoto_shuji

山本 修二(自転車ジャーナリスト)

1963年東京生まれ。ライター。雑誌を中心に、競うことなく笑顔で楽しめる自転車ライフを提案している。最新著書『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』(技術評論社)。

執筆記事一覧
キーワード: #サステナビリティ

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..